　父が魔法の教師を雇うと言い出して1か月、本当に教師が来ることになった。俺は頑固なじじいが来るのではないかと思って気が重かった。

　しかし、来るのは女性と言うことだ。と言うことはばあさんか。はぁ。魔法美少女なんて来るわけない。存在すら怪しい。

　俺は期待していないが、女神テイアは王都から来ると言うことでテンションが高い。

　今日は、その教師が来る日である。俺は、父と母と共に到着を待つ。屋敷に馬車が入って来る。どうやら教師が来たようだ。女神テイアが言う。

　（仲良くして王都の貴族とのつながりを作るのよ。）（分かってます。教えてもらうわけだから礼儀は尽くします。）

　俺たちは玄関ホールで教師を待つ、教師は使用人に案内されて玄関に入って来る。

　えっ。人違いかと俺は思う。どう見ても１０代半ばの少女だ。しかもかわいい。彼女は挨拶をする。

　「魔法の教師を仰せつかりましたローズ・ド・ルマールです。よろしくお願いします。」「ずいぶん若く見えるが・・・」

父も驚いているようだ。知らなかったのか。良い先生を雇うと言ってなかったか。

　「はい、１７歳です。ですが上級魔法士の資格を持っています。」「その年で上級とはすごいね。」

　「１０代で上級魔法士は３０年ぶりだそうです。」「そうか、素晴らしい。私は父親のジルベール・ド・ボドリヤール、妻のリュシー、娘のアニエスだ。よろしく頼むよ。」

う～ん、彼女は魔法美少女だ。魔女の帽子はかぶっていないが黒いローブを羽織り黒のロングブーツを履いている。髪は水色である。染めているのだろうか。

　顔は目鼻立ちがはっきりしていて意志の強そうな顔である。が、何と言ってもかわいい。スタイルはローブ隠れて分からない。体格は母と比べると小柄と言える。

　この子に魔法を手取り足取り教えてもらえるとはバラ色の未来が待っているようだ。

　「アニエス様、魔法を教えに来ましたローズです。よろしくお願いします。」「ローズ先生、父と母はアニーと呼んでいるからアニーと呼んでください。」

　「いいのですか。アニエス様は伯爵家の御令嬢ですよ。」「娘の言う通り呼んでください。」

父が答える。ちなみにローズは男爵家の令嬢である。この後、俺たちはお茶を飲みながら歓談した。魔法の授業は明日からである。

　エマール王国では、ローズ・ド・ルマールから俺、アニエス・ド・ボドリヤールを筆頭に魔法士の黄金期を迎えることになる。

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