第2話
「……なに? 話したい事って」
若干、緊張感ある声で昌樹が聞いてくる。
そうだよね。『どうしても』なんて意味ありげだよね。昌樹の表情をみて、思わず笑ってしまった。
「そんな堅苦しい話じゃないのよ。今日、終業式で明日から冬休みでしょう?」
「そうなの?」
どうやら自分の事じゃないと、明らかにホッとした顔をする。
「なあに? 随分ホッとした顔するのね。隠し事でもあるの?」
「あ、あるわけないだろう? 美紅の言い方が意味ありげだったから」
「ふふっ。そうだね。ごめんね。それでね、学校から碧がしょんぼりして帰ってきたのよ」
「なんで?」
「クラスの女の子に言われたんですって。『サンタさんなんているわけないんだから!』って」
碧はサンタさんをすごく楽しみにしていて、プレゼントをお願いする手紙も一生懸命に書いた。
「今日、クリスマスでしょう? 帰り道でね、何人かと一緒に帰ってきてサンタさんの話で盛り上がってたんですって。だけど、みんな帰り道で別れていって、最後に近所のユキちゃんと二人になったそうなの」
「ユキちゃん? 同じ登校班ではない、よな?」
「そう。登校班は隣の班なんだけど、うちとは五分くらいの距離よ。クラスも一緒だし、ユキちゃん
「ふーん」
近所といってもユキちゃんの家は二年前に引っ越してきたらしく、幼稚園も違ったからお互いまったく知らなかった。
「それでね。二人になった時に碧がユキちゃんに聞いたんですって。『ユキちゃんはサンタさんに何をお願いしたの?』って。そうしたらユキちゃんが『ばっかみたい! サンタさんなんているわけないんだから』って」
そのままユキちゃんは走っていってしまったらしい。碧は一人になってから、だんだんとユキちゃんに言われた言葉が悲しくなったらしく、しょんぼり帰ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます