第39話 初めての水魔法
アルビダとロビンは、水魔法のスキルを得た次の日。
誰もあまり近寄ることのない秘密の庭園に来ていた。
新しく得た水魔法の練習をしてみようと思い、なるべく人に見つからない場所を選んだ。
この場所は薔薇の花で作られた小道を通らないと入ってこれない所なのだが、薔薇が大きく育ちすぎ小道が花で埋め尽くされ、大人は小道を通ろうとすると、腰を曲げて通らないといけない。
だがアルビダの背丈なら、少し頭を下げるだけで小道を通ることができる。
偶然発見した場所なのだが、この場所はアルビダのお気に入りの場所となっていた。
『じゃあ、水魔法を試してみる?』
「はい!」
———本当にわたくしに水魔法が使えるのでしょうか?
「ではいきます!」
アルビダは体の中心から魔力の流れを手の先に持っていく。手のひらに魔力が集まるのを感じ詠唱する。
《ウオーター》
「……ん? あれ?」
詠唱するも何も起こらない。予定通りなら手から水が出てくるはずだったのに。
『大丈夫! もう一回チャレンジして! 水が出てくるまで何度でもチャレンジだよ』
ロビンがアルビダの後ろから一生懸命応援している。
———そうですわ! 一度ダメだったくらいで落ち込むなんて、頑張ります。
アルビダは再び詠唱する。二回目、三回目……四回目に詠唱した時だった。
アルビダの手から水が出てきた。その水はキラキラと神々しく輝いているように見える。初めての水魔法はコップ一杯分の水が出せた。
「お水が出せましたわ! ロビン見てください」
アルビダは手のひらにたまった水をロビンに見せる。
『アビィ! やったね!』
ロビンが水に顔を近づけると……様子が一変する。
『このお水……なるほど、そうか。そうくるか』
ロビンがアルビダの作り出した水をマジマジと見て唸り声を上げる。
その様子を不思議そうにみるアルビダ。
「ロビン? どうしたのですか? この水はもしかして失敗なのですか?」
アルビダの言葉にロビンは首を横に振る。
『失敗どころか! この作った水を鑑定してみなよ!』
「え? 鑑定ですか?」
ロビンに鑑定しろと言われ、なぜ魔法の水を鑑定しないといけないんだと思いながらアルビダは手の平に溜まっている水を鑑定した。
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【アルビダが魔法で作った特別な
心が病んだ人がこの水を飲むと、心が癒され満たされる。
浄化の力がある。
呪いの解呪ができる。
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———え? 浄化……呪いを解呪!?
「ロビン! このお水のこと神水って書いていますわ! さらに呪いを解呪できるとも! これって……これって……私のお水をサミュエル様が飲むと呪いが解呪できるのでしょうか?」
『……そういうことだよね。普通の水魔法は神水にはならないし、ましてや解呪まで出来きたりしない。本当に妖精たちから貰えるスキルは規格外だね』
あまりにも規格外な水魔法に、流石のロビンも口をぽかんとひらき驚いている。
「はい! 妖精さんがわたくしが新しいスキルを得るためにスパチャを送ってくだったおかげです」
アルビダは鑑定結果に頬を紅潮させて喜んでいる。意外なところから解呪ができる力が手に入ったのだ。嬉しくて仕方ないようす。
『後で妖精たちに、いっぱいお礼を言わないとだね』
「はい!」
アルビダは意気揚々と自分の部屋に戻っていった。
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