第14話 秘密にしてくださいね。

 わたくし、あのう……ちょっと変わった鑑定スキルを持っていまして。


「変わった鑑定スキル?」

「はい。人の鑑定もできるのです。そこに体調の変化などが出ます」

「えっ、ちょっと待ってくれ!? アルビダ嬢を疑うわけじゃないが、人を鑑定できるなんて聞いたことがない。ましてや君は、スキル選定の儀をまだ受けてないですよね?」


 アルビタの話を聞いたジェイデンが驚き慌てる。

 それはそうだろう。いきなり鑑定スキルを持っていると言われ、はいそうですか。と信じる方がおかしい。

 原因不明の病気を急に分かったと言われて、信用できる訳がない。

 アルビタはどうしたら信じてもらえるのか考えた。


 これは実際に見て信じて頂くしかないですわ。


「ジェイデン様、信じて頂くために貴方を鑑定させていただきますね。それで違えば、諦めます」


 アルビダに自分を鑑定させてくれと言われ戸惑うが、もし……アルビダの話していたことが本当ならと、一縷の望みが捨て切れずジェイデンはアルビダの要求を飲んだ。


「……分かった。僕のことを鑑定してみて」

「はい!」


ここでミスすれば全てが終わる。

信用してもらえるように全力で向かうのよ。


鑑定

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名前 ジェイデン・リンドール

年齢 十一歳

体調 寝不足

魔力 ★★★★

スキル 闇魔法♢♢♢

    治癒魔法♢←new

好感度 ♡♡


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 なるほど……体調は寝不足。


 これをクリックしてさらに深く読み取る。


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※症状 三日間ほどまともに寝ていない。妹の事が心配で寝れない。

※薬  妹の病が治る事。


なるほど、睡眠不足の原因は妹ジュリア様の病気ですね。


———ん? このスキルのnewっていうのは何かしら?


アルビダは気になり【new】の文字に軽く触れる。


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※新しく取得したスキルの事を表す。スキルは稀に後天的に得る事がある。


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新しく得たスキル! 後天的にスキルを得る事ができるなんて、これは知られていない情報ですね。


———そうですわ! 


後天的があるなら、先天的があってもおかしくない! わたくしのこの鑑定スキルは先天的・・・に得た、生まれ持ったスキルということにしましょう。

ふふふ。我ながらいいアイデアですわ。


「鑑定できました。鑑定で見えたのは、ジェイデン様の体調が寝不足なこと、ここ三日程まともに眠れていない」

「なるほどね。でもそれくらいのことなら、目の下のクマだったり、メイド達からの情報でどうにかなりますね」


 ジェイデンはそれくらいの情報では信用できないと言った表情で、少し残念そうに微笑む。


「情報はそれだけではありませんわ。ジェイデン様のスキルは闇魔法」

「それも父親から聞けばわかる情報ですね?」

「さらに新しく得た・・スキル治癒魔法を、最近後天的に授かりましたね」

「……………え!?」


 闇魔法までは普通に話していたジェイデンだが、アルビダから治癒魔法の話をされ、驚き固まる。


「それは……お父様と、司祭様しか知らない情報なのに! どどっ、どうしてそれを君が知ってるんだ!?」


 冷静沈着なジェイデンが、声を荒げて驚いている。


「ですから、鑑定で調べて分かったのですわ」

「……鑑定で……そうか……なるほど」


 ジェイデンはブツブツと独り言を言っていたかと思うと、アルビダの事を真剣な目で見つめた。


「アルビダ嬢、さっきは試すような事をして申し訳ない。君の鑑定は本物だ、どうか妹のためにその力を貸してくれませんか?」


 ジェイデンは目に涙を溜め、アルビダに懇願するのだった。

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