27 ふたりの絆
「どういたしまして。アーテル先輩とイブ先輩を助けることができて光栄だよ」
キズナは異世界に来て、初めて人助けをした。前世ではお人好し過ぎるが故に損してきたキズナだが、今回は損なんてしないと信じたい。
*
「貴方、ひとりぼっちなの?」
KOM学園にふたりの少女がいた。
ひとりは外交的で友だちが多く、魔術の腕も優れていた。
ひとりは内向的で友だちがいなくて、魔術の腕も弱かった。
「ひとりぼっちなの、寂しいでしょう? なら私と友だちにならない?」
ある日、そのふたりは関わった。厳格なスクールカーストの中、落ちこぼれとクラスのクイーンが関わったわけだ。
「貴方、白い服良く似合うわよ。おカネ? 大丈夫。私、おカネだけは持ってるから」
社交的に見えた彼女は、実際のところかなりの寂しがり屋だった。彼女はカネを使い、まるで貢ぐかのように黒い髪の落ちこぼれに様々なものを買っていた。
「貢がれてるみたいで申し訳ない? なに言ってるのよ。私たちは親友じゃない!」
明るい笑顔を見せる彼女に、黒い髪の少女はいつも焦がれてきた。
「ねえ、イブちゃん。私、評定金額が上がったよ!」
「……、そう」
その日から、ふたりは口すら聞かなくなった。あのときは白い髪の少女が“評定金額”で自身を越したことに嫉妬しているのだと思っていた。
それでも、いまならば分かる。
「イブちゃんはずっと、妹みたいな存在が欲しかったんだね」
魔力を使い切って眠るイブへ、アーテルは彼女の髪を撫で、そうつぶやいた。
*****
シーズン2、これにて閉幕です。最後文字数の調整的に短くなってしまった……。すみません。
あと、シーズン3は1200文字ずつ載せていく予定です。よろしくお願いします。
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