第2話 今はお風呂屋さんに行くな!

 職業童貞のみなさんこんにちは。今回もみなさんが素敵な女性と素敵な時間を過ごせるように筆を取っております。とはいうものの、今回はあえてこう言います。


「今はお風呂屋さんに行くのは絶対に止めておけ!」


 読者様に女性と素敵な時間を過ごしてほしいというこのエッセイの主目的とは矛盾するような発言を何故あえてしたのか、それには大きく分けて二つの理由があります。


1・年末年始は風ノ谷業界にとって一年間で最大の繁忙期であるから

2・初めてのお風呂屋さんで満足な体験ができる可能性は高くないから(特に職業童貞と年単位でご無沙汰の人)


 特に理由1は今伝えなければ間に合わないので今回最優先で掘り下げます。風ノ谷業界には一年間に二度の繁忙期があります。一度目は年末年始、二度目は7月後半からお盆にかけてです。これらの時期の共通点にお気付きでしょうか? そうです。ボーナスシーズンですね。単純にボーナスを受け取る男性が多いからこの時期に登楼しようとする男性も多くなるということです。


「登楼する男性が多くて人気がある良い女性の予約が取りづらいからか?」と思われるかもしれません。確かにそれも一理ありますが、もっとこの時期をおすすめできない理由が別にあります。それは女性の疲労です。この時期は客の人数が多い分、女性一人当たりの接客数が増加して女性の疲労が蓄積しやすくなります。その結果、この時期は工場の生産ラインを流れてくる商品を機械的に組み立てる作業員が如く、接客に作業感が生じてしまうのです。


「閑散期でも一日中客が付く大人気の女性ならばいつものことなのではないか?」とも思われるかもしれません。確かに連日予約で時間枠が完売になる女性であれば接客人数自体に差はありません。しかし、繁忙期はお客の質が普段と異なることによって女性の疲労が閑散期に比べて高まっている可能性が高いです。繁忙期は風ノ谷を初めて利用する客や忘年会などの会合の後にノリで来店する客が多く、風ノ谷に通い慣れている客が常識として知っているマナーを知らない場合も少なくありません。


 女性が一見さんの接客で消耗するのは体力だけではありません。通い慣れていない客が求める過剰サービスを断ることによって女性は精神も消耗しています。自分よりも体が大きくて力も強い男性と密室で二人きりになる仕事の性質上、女性は男性が考える以上に過剰サービスを断った時に男性が逆上することを恐れています。恐れるが故に、いかにお店の規定を破る過剰サービスをお客が求めているのか、客にやんわりと伝えようと女性は神経をすり減らして考えているのです。


 ここまで読んでみてどうでしょう? せっかく年に二回の自由に使えるボーナスを使って気になる女性に逢うならば、彼女にもっと余裕がある時に逢った方がより良いサービスを受けられそうだと思いませんか? 女性に余裕がある閑散期に逢った方が「良いサービスをを提供して本指名客(同じ女性を繰り返し指名するリピーター)になってもらおう」と女性も考えてはりきってサービスを提供してくれる可能性がきっと高くなると思いますよ。実はこの「本指名になってくれるか」という点を風ノ谷で働く女性はとても注意深く観察しています。後々どんな態度で振る舞うことで女性の本指名期待度を高められるかについても触れていこうと思います。


 では、今回はここまで。次回は今はまだお風呂屋さんに行くべきではないもう一つの理由について語ろうと思います。

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