転生なんかできない

エピローグ

　交通事故に遭った時、どうしてこんな身体で生き残ってしまったんだろうと思った。

　あのまま、死んでしまえばよかった、と思った。

　これは夢で、目が覚めたら元に戻っている日が来る、と思った。

　このまま目の前に神様が現れて、、次の行き先を決めてくれる、と思った。

　こんなこと、家族や学校の友達には言えないから、自分の中にしまい込んでいたけど。

　でも、現実はそうならない。

　死ぬ勇気もないし、夢も醒めないし、転生なんかできない。

　そうはならないけど、現実を積み重ねていくと、何かが変わる。

　自分のことも、友達のことも、いろんな出会いや体験があって、その中にちょっとした幸せがある。

　それを探す楽しみがある。

　辛いことは多いけど、辛いことだけではない。

　そう思える、自分でありたい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　 完