【第17話】よき理解者
今日は私が知らないセレーネさんと店長の話を少し聞きました。書店にて夕方、常連のお客様が多く同じゲートボール仲間が揃ったみたいで、話が盛り上がっていました。
「ひよりちゃん聞いてくれ。こいつ腕が上がったのに一昨日、段差につまづいて腕怪我しちまったんだ」
「え、大丈夫ですか!?」
六人のおじさん達と三人のおばさん達は、こんな風に私にも話を振ってくれる。
「大したことないさ、病院でチョチョイのチョイで治してもらった。明日プレーできるぞ」
「バカ言え、痛えくせに痩せ我慢だ。安静にな」
「──お大事にしてくださいね、私も元気な顔みないと心配です」
「ありがとうね、ひよりちゃん」
心配したけど、病院にちゃんと通ってるみたいで安心した。そして飲み物のお代わりを店長に頼み、持ってきたときにおばさん達から店長の若かりし頃の話になった。
「絵本はもう作らないの? 貴方のデザイン好きだったわ、セレーネちゃんだって──」
「高校生の落書き程度ですよ、芸術家なんて経済的に安定しませんから」
店長が遮るように話した所を私は驚いて見た。
「素敵だと思うけど……そう。今は店長しているのね応援してるわ」
「ありがとうございます。お茶菓子もご用意しますので、またお越しください」
話はすぐ終わり、ゲートボール仲間の全員九人の世間話へ戻っていった。店長が絵を描くのを初めて知った。あの口ぶりならセレーネさんも応援していたんだろうと思う。
絵本は小説に絵がついたようなもので、まさか本を捨てようとしてた店長が描いたことあるなんて……本が嫌いだと思っていたのに不思議。何かあるんだろうなと思いつつ、聞くに聞けません。
「おい、八木。これ試食してくれ、明後日から出す期間限定メニューにする」
「はい!」
こんな風に慌ただしく時間は過ぎて……桃のスイーツを食べつつ彼の表情を覗き込んで、店長の作るお菓子はやっぱり最高ですね! っと伝えました。
私たちは、もうピリピリ喧嘩する仲じゃなくお店を運営する者として協力してる。絶妙な距離感だけど。
ちょっぴり元気が無いのが表情で分かるようになった。お互いがんばる事があって、切磋琢磨している。結局聞かなくても良いと思ってる。相手が話したい時に話すのを待つ。
こうやって日記に書くくらい気になってるんだけどね! 来年お花見一緒にできるかな。セレーネさん達としたみたいにお花見できるくらい仲良くなりたいです。
【今日の一言】→SNSにて発信している一言。
皆さま今日もお仕事、学校お疲れさまでした! 梅雨到来でしょうか? ※書いている時期が梅雨。気温も差が激しくて体調管理に気をつけたいところですね。
寒い日はジンジャーをお味噌汁や飲み物に入れて身体を温めましょう! 暑い日のマスクには、レモンやミントのマスクスプレーが爽快感があり、おすすめです。
それではまた明日!
──つづく。
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