第19話 母系血統

第19話 母系血統



「娘達よく聞いてくださいね。それと今まで貴女達に私の実家のことを全く話していなかったわね」

娘達は母をみて、ウンウンと首を縦に振った。


「私の実家の姓は、ベルティンブルグなの。トリシャお姉ちゃまは、初代女皇陛下の血筋ですけれども、私、いいえ貴女達は初代女皇の妹の二代目女皇陛下の血筋なのよ。

私達はベルティンブルグ大公国で実質、政を行い、ベルティンブルグでは、公爵なのよ。

私達は二代目女皇陛下の子孫ですから皇族の血が流れているの」


「「「ええええ!!!!」」」

母の激白に、目が飛び出るのじゃないかというくらい驚く三人娘。

因みに顎も外れそうなくらい大きな口を開けている。


「先程、私はここで文官として働いていたと言っていましたが、女宰相として、ベルティンブルグ大公爵家、つまり、パトリシアお姉ちゃまと、お姉ちゃまの横にいらっしゃるライヒトゥーム家のフォローをしていたのよ」


「え?でもエミリーア様の本来の地位をわかっていないようでしたけれども、何故なのですか。お母様?」


「シア。それはね。ライヒトゥーム家のみなさまは、連邦の各地を巡って、国王や貴族などが、不正をしていないか確認をしているの。

私がお城で勤めていたときは、副女皇陛下は先代でいらしたの。エミリーア様にお目にかかったのは、十数年ぶりで、我が儘放題だったエミリーア様は、侍女などをして潜伏捜査などしないと思っていたのよ」


「ちょっと、クラウディア様。酷い言いようね。いまだに、パトリシア様の事をお姉ちゃまって言っているし」

エミリーアは、我が儘放題の幼少期を思い出し顔を引きつらせたが、照れ隠しのため、お姉ちゃま呼びを揶揄った。


「エミリーア様。それは、仕方ないわ。幼い頃から大公爵家の女性には『お姉ちゃま』と呼べと教育されてきたのだから、嫁いだ今でも癖は抜けないわ」


「エミリーア。二代目女皇陛下が、初代女皇陛下の事をお姉ちゃまと、幼い頃呼んでいてそれを代々続けているのよ。ベルティンブルグ家のこだわりよ。

“ちゃま”呼びを弄らないで欲しいわ」


「パトリシア様。私も今からトリシャお姉ちゃまと呼んでもいいかな?」

エミリーアの弄りは、クラウディアからパトリシアに移った。


「エミリーア。あなたはライヒトゥーム姓だから却下ですわ」

パトリシアは、誰もが心底嫌がっている表情になった。


そこで、アダルーシアは三人の話しを止めるように手を上げた。

「お義母様(パトリシア)は、フーマ王国では、伯爵位ですが、ベルティンブルグ連邦公共和王国では、女皇であられて、エミリーア様がガイスト王国では公爵位で連邦では副女皇で、お母様のご家族のお一人がもう一人の副女皇と言う事でしょうか?」


「う~ん。惜しいわ。わたくしとエミリーアは、連邦の縁の無い自治区では、伯爵位以上を叙爵されているわ。 因みにわたくしが伯爵位を使うときは、トリシャで通しているのよ」


「パトリシア様は、その名で通しているわね。

私は、このお城では、エミリーア。

潜伏するときはエミリーと名のっているわ。

因みに縁あってガイスト王国では、女公爵よ」


クラウディアは、家系の話しを続ける。

「そうですか。 私の方の実家では、姉が継いでいます。

姉は、この場にいないので、お城の何処かにいるとおもいますわ。

それで、話しを戻しますが、ワルフリーデン様の爵位ですが、我が家のフーマ王国での侯爵位を引き継いで頂きました」


「お母様。 それでは、お母様の実家で上位爵位がなくなってしまって損をしてしまうでは無いですか?」


「シア。それはね。

シアナ様の預言で、トリシャお姉ちゃまに男の子が授かるとあったのよ。私は女家系だったので、女の子が必ず産まれると考えていたので、生れた子と結婚させて爵位を戻せばいいと思っていたのよ

その爵位はウィルバード様が、我が家の婿になって、のちにウィルバード様が貸している侯爵位を継ぐことで、我が一族にもどってくる手はずなのよ」


「でも、必ず男の子供が生まれるとは限らないじゃないでしょうか?それに、ちょうど良い年齢の子が生まれるとは限らないですし」


「実はね。お姉ちゃま子孫に男の子が生まれたときに、その男の子同時期に、女の子がハウスビッシュ家に生まれると預言があったのよ」


「「「ええええ!」」」

驚く娘達。

「そ、それでは、私の気持ちなど聞かなくても、ウィルに嫁ぐことになっていたのでないですか!」


 この場にくるまで、いや、この時もウィルバードとの事で悩んでいたアダルーシアは、顔を真っ赤にした。


「いいえ。違います。母である私も、ウィルバード様の母であるトリシャお姉ちゃまもあなたの意志に関係なく、二人を婚姻させることは考えていません。

シアへの小言も、ウィルバード様への苦言も二人に覚悟がないからです」


***********************************


※解説

今後の聖女の紋章シリーズで出演するキャラを説明します。


二代目女皇 初代女皇の妹(父リカード 母アルーシャ)

初代副女皇   ライヒトゥーム 王都学園で初代女皇と同級生 

        聖なる湖の北側に面するガイスト王国で、元聖女で伯爵

        エミリーアの祖先

シアナ  エルーシアが保護した聖女 天気がわかるスキルを持っている。

     (レオンの嫁)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る