第13話 いつつのじょうけん

第13話 いつつのじょうけん



「それでは、アダルーシアが、アウグスタとの婚約の条件として、五つの条件を出すのだな」


今は、ディナーも終わり明日の行動を確認する為に、アダルハードがみなに確認をとる。

一つ 今年の収穫祭時にある武道会の剣術で、ヒムラー家とその派閥で優勝者が出ること。そしてアウグスタは必ず剣術の大会に出場すること。

二つ 剣術大会でウィルバードより、アウグスタの方が強いと証明すること。

三つ 剣術大会に参加する者に大会が終了するまで危害を与えないこと。

四つ 婚約の発表は大会終了後。婚約は大会終了後、半年以降にすること。

五つ 武道会の予選が始まるまで、アダルーシアは、血縁以外との男性に会わないよう学園を休み、領地などの地方に滞在する。

※借金は、大会後にこちらから申請する。

ただし借金をしなければ、当家と御家との婚約は成立しないこと。

 ※貴家との契約は、ハウスビッシュ家がかわしている契約を女王陛下及び王配殿下の承認で解消された場合のみ、貴家との契約を交わす。


このような事をヒムラー家に申し立てるつもりのようである。はっきり言ってしまえば、自分たちに都合のよい事ばかりである。

しかし、夕方、あの者達は婚約さえ出切れば、アダルーシアの言う事であればどんな条件でものむと言質を取った上に一筆か書かしているのだ。

 アホである。


「アダルーシアの将来に傷をつけることになる可能性があるのに、協力してくれて申し訳ない」

エミリーアは腰を折り、深々と頭を下げた。

この礼儀は、この大陸に於いて一部の者だけがするお辞儀である。日本で言う所の土下座だ。


「いいえ。我が家以外の貴族達がどう思おうが、女王様、国王様は国の為に行なっている行動と知っています。

それに、エミリーア様がおしゃっていた、ウィルバード様の覚醒のきっかけが作れるのです。

ですから、頭を上げてください」


「いいや。侯爵の叙爵を待ってもらっていて、しかも投資の失敗による借金をつくり、それを返すための投資で買った物もクズでお金に全くならなく、更に借金が膨らみ、その借金を返すために、長女の婚約を解消させ、爵位の下の男爵家との次男と婚約して、借金を返すとう言う汚名を着せているのです。

ハウスビッシュ家の名誉に傷をつけてしまっているわ」


「エミリーア様。私は伯爵ですが、フーマ王国の長、女王陛下の臣下です。

王配でおられるイレム殿下からの直接の命で、今回の企みに参加しているのです。妻と娘達も貴族の人間です。貴族としての矜持を持っています。

私はフーマ王国、この大陸の秩序を守るためならば、例え、伯爵の地位を無くしたとしても、女王陛下が知っていてくださればそれでいいのです。

ですから、頭を上げてください。

それに、先程見たあの、ま・せ・き は、魔法が使えるようになったら、あの石を売るだけで大きな財産になります」


「わかったわ。女王のエルフリーナもこんなにも忠義に厚い臣下を持って幸せね」

エミリーアは、頭を上げた。

エミリーアの姿勢が元の戻りハウスビッシュ一家も安心したのか、笑顔になった。そして上位者が頭を下げていたことで、緊張していたのか喉を潤すように、水の入っていたグラスをみな口元に持っていっていた、そのときアダルーシアのグラスの水とアダルーシアの口元が橙色に光った。 いや、正確に言うとハウスビッシュ家の女性陣みなが水を飲むときに、うっすらと橙色に放っていたが、注意してみないとわからないぐらいだが、アダルーシアの口元は、ほんのわずかな時間だが、黄色と橙色交互に色をだして光りを放っていた。そして右手の甲も同じく、わずかに輝いていたのだ。

 家族全員はそれに気づかないが、エミリーアだけは、その光りと同時に、目を見開き、眉をひそめた。

そして、この場で明日からの予定を話し合っていたが、エミリーアは、違うことを考えていたのか、みなが声をかけるが、上の空のように生返事しかしていなかった。



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今年、初投稿以降、大変お世話になりました。

来年もよろしくお願いします。


明日の更新は、予約で行います。

よろしくお願いします。


それでは、よいお年をお迎えください。


I。ランド


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