第6話 伯爵位の継承
第6話 伯爵位の継承
「ウィルバード=オッドリア!
貴様とアダルーシア=ハウスビッシュとの婚約は破棄する。
そして俺はアダルーシアと結婚して俺は伯爵家当主となる。
お前は、継承権はなかったな!これでお前は平民確定だ!
ブヒヒヒヒ」
アダルーシアが、学園を欠席してから5日目、昨夜母妹と剣をあわせた次の日だった。
友人達とお昼にするため、食堂に向い、席に座ろうとしたとき、急にヒムラー男爵家の次男にアダルーシアとの婚約破棄を告げられた。
ウィルバードは、口をあんぐりと開け、目もキョトンとしている。
昨夜、実の母と妹に真剣の試合で惨敗して、気持ちがどん底だったが、学園では持ち込まないように、上辺だけ明るく振る舞っていたようだ。
しかも、昨日はアダルーシアの屋敷に行って何の情報も得ることが出来なく、気分は本当にどん底だった。
だが、ここでアダルーシアと連絡が取れないことの理由の手がかりを掴むことが出来たが、最悪だった。
「なんだ。元侯爵の親父がいないから、緊急の時に固まって動けなくなるブヒ。全く片親だとこんなに甘ちゃんになるブヒ」
ヒムラーは鼻を鳴らしながら、ウィルバードを言葉で責める。
「ヒムラー男爵家の君が、なぜ僕とアダルーシアとの婚約破棄を言うのかな。
君は全く関係ないではないか」
アダルーシアとの話しに加え、父親の事を言われ、ウィルバードは、怒りが強いのか、顔を真っ赤にしている。
「ンガ。ブヒヒヒヒ。ウィルバード。貴様は何も聞かされていないのか?ブヒ?」
「な、何のことだ」
ヒムラーは「ブヒ ブヒ」言いながらある契約書をウィルバードに見せた。
そこには、ハウスビッシュ家の借金の金額とその金額をすぐに貸すことができるという印付きの文であった。
「つまり、伯爵はヒムラー家に借金の肩代わりにお金とアダルーシアとの婚姻。つまり次代の伯爵の継続をヒムラー家に分け渡すということか?」
「ンガ。そうだ。ようは、俺は次代の伯爵だ。
アダルーシアもアダルーシアの妹達も俺のモノだブ。因みに今の伯爵夫人も俺の女だブヒ」
ヒムラーの自分達の親と同じ年代の伯爵夫人も自分の女だと叫ぶのを聞いて、ここにいる者は全員引いてしまった。
この発言の前は、ザワザワとしていてとてもうるさかったのだが、今は風の音さえ聞こえるくらいに静まりかえってしまった。
「何を言っているんだ。僕とアダルーシアとの婚約は国王からの許可をもらっている。ハウスビッシュ家の許可が得られたとしても、我が家からの許可が無ければ婚約破棄は成立しない」
「ブヒヒヒヒ。本当に貴様は何も知らないな」
「ヒムラー。僕は何が知らないって言うんだよ」
「ブヒヒヒヒ。貴様もしかしたら、家族と使用人に嫌われているのか?
昨日、家とハウスビッシュ家で、オッドリア家に説明が行っているはずブー」
「なに?」
「ブヒヒヒヒ。本当に何も知らなかったのか。俺は忙しいから、これで帰るブー。
女四人相手にするの大変だブヒ」
何も言い出せないウィルバードを、ヒムラーはじっぃと顔を見た。
そしてペッと唾を吐き
「こんな、ひ弱な男は、女も嫌になるな。
どちらにしても、勝負はぼくちんが優勝するから問題ないブヒ」
アウグスタ=ヒムラーは、ブヒブヒ言いながらこの場から去って行った。
食堂は異常な雰囲気に包まれた。
「勝負? 優勝者?」
ウィルバードは、そう呟き、体が揺れた。
「おっと。あぶねぇ」
そこで、親友のデットリックがウィルバードを支えた。
ウィルバードは、親友に体を支えられたまま、意識をなくしてしまった。
いつも余裕綽々で学園生活を送っていたウィルバードを見た学園生は、同情をした者も多かったが、ざまぁと言っていた者も少なからずいた。
だが、ここには、王子と公爵の息女がいるため大きな声を出す者がいなかった。
デットリックとカトリーナと他の友達でウィルバードを馬車に乗せ屋敷に帰らせることにしたのだった。
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