2 高瀬まり

 高瀬まり


 中学二年生のとき。

 わたしは恋をしていた。


「将来の夢ってある?」

 と高瀬まりは言った。

「将来の夢か。あるよ」と真島しんは窓の外を見ながら言った。

「なに?」

「宇宙飛行士」としんは言う。しんの見ている先には透き通るような青色の空が広がっている。

 まりは少ししてから「本気で言ってるの?」と聞いてみると「ああ。本気だよ」とまりを見てにっこりと笑ってしんは言った。

「宇宙に行きたいの?」

 椅子の位置を少し動かしてまりは言う。

「月に行きたいんだよ」

 机の上に座っているしんはまた青色の空を見る。そこには白い月があった。

「どうして月に行きたいの?」

「手の届かないところにあるから」と笑ってしんはそう言った。


「まりは夢ってあるの?」

 しんは言う。

「あるけど、秘密」とまりは言った。

「なんだよ。教えてよ。俺ばっかりずるいじゃん」としんはまりを見てそう言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る