第8話 覚 醒 

山間を流れる泉川に沿った道を上流に向かって一匹の狐が歩いている。笠置浜から東に行き伊賀に至る街道筋。

「しばらくぶりに戻ってきたけど、相変わらずの田舎だねぇ。」

そう言って周りを見回しているのは真っ白な体の妖狐・古ノ森である。

「昨日までの賑やかな場所が夢のようだねぇ。ちょいと予定より長くなっちまったけど。アタシの寝床は無事かしらね。」

そう呟く古ノ森は、自分の棲家である森を長らくの間離れていたのだ。

(あの子はどうしただろうねぇ。)

そんな事を想いながら一人、家路を急ぐ。

あと少しで懐かしい我が家という所で前から誰かがやって来る。立ち止まった古ノ森は、

「ん?おや、この気配は・・・」

と、道の先からやって来る者をジッと見つめている。

「まさか・・・烏羽玉?」

そう呟いた。こちらに近づいて来る者の正体は、黒猫であった。

「よう、やっと帰ってきたか。」

目の前にいるのは紛れもなく烏羽玉である。

「烏羽玉かい?アンタどうして?・・・・」

「あれからもう十五年は経ってるんだよ、まだ生きてたのかい!」

驚いた様子で問いかけている。

「勝手に殺すんじゃねぇよ。久しぶりに会った一言目がそれか!大体何をそんなに驚いていやがる。」

言葉ではそう言っているものの、何やら少し嬉しげである。

「だってアンタ!あの時幾つだったんだい?」

「なんだよ、あん時って。ああ、おまえが旅に出た時かよ、えーっと確か寅年だったから八歳だな。帝がお亡くなりになった時だったからよく覚えてる。」

烏羽玉の言う帝とは後醍醐天皇の事である。

「だったらもう、二十をとうに超えてるじゃないか!普通の猫はそんなに長くは生きられない・・って、まさかアンタ!」

古ノ森はひとり、何やら興奮状態で

「えっ、えっ、エーッ!幽霊!」

と、ひどく取り乱している。そんな古ノ森を見て当の烏羽玉は

「ギャーギャーうるせぇ!だから俺はまだ死んじゃいねぇよ、よく見ろ何処も透けて

ねえだろう。大体お前、妖だろう?よく見ろよ、見てわかんねえのかよ」

そう言って古ノ森の目の前で尻尾を振って見せた。

「へ、あっ、あーっ!尻尾がーっ!」

ゆらゆらと、振られた尻尾を見た古ノ森は目をまん丸にして

「二本!アンタ化けたのかい!猫又に!」

「やっとわかったのかよ。そうだよ、どうやら念願の妖力を手に入れる事が出来たんだよ。理由は俺にもよくわからないが、気が付きゃそうなってたんだよ。」

まだ驚いたままの古ノ森は

「そんな事って・・どうやって・・一体なにがあったんだい?」

と、信じられない様子で烏羽玉を見ている。

「だからわかんねえって言ってるだろう。ともかく久しぶりに帰って来たんだ、とりあえず棲家に戻って飯でも喰ってからゆっくりと話すとしようぜ。」

そう言って未だ、不思議な顔をしたままの古ノ森を促して来た道を二匹で戻っていった。


「それで、どうなったらこんな事になるんだい?」

棲家に戻ってお腹を満たすと早々に、かぶりつく様に烏羽玉に問いかけているのは古ノ森である。

「全く、うるさいなぁ。何があったか話してやるから少し落ち着けよ。あの日の後・・」


いつものように恋志姫の眠る墓所から笠置山に向かい、弥勒菩薩を見上げる場所に着くと、

「あれからもう随分と年月が過ぎたな。」

烏羽玉は呟くと、その場に座り込み想いにふけっていた。


元弘元年九月の笠置山陥落後、幕府に捕らえられた後醍醐天皇は翌年隠岐の島に流された。

しかし、各地に残る天皇派の者たちは倒幕の活動を絶やさず行っていた。元弘三年・正慶二年、隠岐の島を密かに脱出した後醍醐天皇は伯耆の国で挙兵し、それを追討するため幕府より派遣されたのが足利尊氏である。だが、尊氏が後醍醐天皇に味方し、六波羅探題を攻略。時を同じくして東国で新田義貞が挙兵し鎌倉を攻め、北条一門を滅ぼしたのである。

これにより鎌倉幕府は無くなり、元弘三年六月、京に戻った後醍醐天皇は

「今の例は昔の新義なり、朕が新儀は未来の先例たるべし」

と宣言し建武の新政を開始した。元号を建武と改元し、実子の護良親王を征夷大将軍に据え、足利尊氏や新田義貞や楠木正成などを要職につけ新たな統治を目指したのである。

だが、建武二年に北条の残党による乱を鎮圧に向かった足利尊氏に叛意ありとみなし、新田義貞を尊氏討伐に向かわせたが新田軍は敗北、辛うじて楠木・畠山軍が足利軍を破ったものの、「幕府を置かない武家の活用」という後醍醐天皇の政権構想は失敗に終わったのである。

翌年、九州に逃れていた尊氏が体制を立て直し、上洛。湊川の戦いに勝利し京に入った。この戦いで後醍醐天皇方の武将、楠木正成は戦死した。

足利軍が入京すると後醍醐天皇は比叡山に逃れて抵抗するが、足利方の和睦の要請に応じて三種の神器を足利方へ渡し、尊氏は光明天皇を新天皇に擁立し、室町幕府を開設したのである。しかし、延元元年(西暦一三三六年)後醍醐天皇は吉野山・吉水院(現・吉水神社)にあって、

「尊氏が持つ三種の神器は偽物である」

としてここに吉野朝廷を宣言し、京都朝廷と対立、南北朝時代が始まったのであった。だが、全国各地に自分の皇子たちを向かわせ北朝に対抗させようとした後醍醐帝であったが劣勢を覆すことが出来ぬままこの年、延元二年(西暦一三三九年)八月十六日、吉野にて崩御された。


露の身を 草の枕におきながら

             風にはよもと 頼はかなさ

                           後醍醐天皇


吉水神社には後醍醐天皇にまつわる資料が多数展示されており、その最後を鑑みることができる。余談ではあるが、吉水院は源義経が愛する静御前と別れ、武蔵坊弁慶と共に奥州に向かった場所でもある。




「姫は帝とお会いになられただろうか・・・」

後醍醐天皇の崩御を知った烏羽玉は一人、そう呟いていた。

「会えてるといいねぇ。今生で叶わなかった再会があの世でできたらそれも縁(えにし)だよ。」

気がつくと古ノ森が傍に立っていた。

「いつから居たんだよ。相変わらず気配さえ感じねえな。」

いつもの事とあまり驚きもせず

「どうした?」

と聞き返す。

「イヤ、なにね、ちょっと坊やにに頼みがあってね。」

また坊やかよと、言うような顔つきの烏羽玉に向かって

「アタシ、しばらくの間此処を離れようと思ってね。」

何やら意味深に話す古ノ森に

「離れるって、何処に行くんだよ。」

「それと頼みと、どう関係があるんだ?」

珍しく慌てた風で烏羽玉は聞き返す。

「急な話でもないんだよ。元々、決まってた話でね、しばらく伏見の稲荷山に行くことになったんだよ。」

「それでさ、アタシの留守の間、アンタに我が家の面倒を見てもらおうかと思ってね。」

「留守の間に狸やら他の生き物が勝手にアタシんちに入り込まないよう見張ってて

ほしいのさ。何なら使ってくれて構わないからさ。」

古ノ森は自分が棲む森にある岩窟を烏羽玉に預けると言っているのである。

「伏見の稲荷山って何があるんだ?」

生まれてから京の宮中と此処、笠置山しか知らない烏羽玉にとって外の世界の事は

サッパリ解らない。

「伏見稲荷山はアタシら妖狐にとって、特別に神聖な場所なのさ。ある程度の齢を経た妖狐は必ず一度はそこに修行に行かなきゃならないんだよ。アタシもそろそろ行かないといけなくなってね、坊やもそこそこ大きくなった事だし、良い頃合いだと思ってね。」

「何で俺が関係あるんだよ!」

子供扱いされた上に、留守番までさせられると烏羽玉は憤慨している。

「そう怒りなさんな。これは坊や、烏羽玉にとってもいい話なんだよ。アタシが修行に行く稲荷山ならもしかしたらアンタの謎が解けるかも知れない。それに我が家は年中心地良いし、そこいらで寝るよりよっぽどいいだろ?」

何故、烏羽玉が妖気に反応するのか解る者がいるかもしれないと、そう言って烏羽玉を納得させようと必死である。

「どれ位で戻ってくるんだよ?半年程か?」

「それはわからないよ。何せ向こうで良しと認められるまでは戻れないんだよ。まあ

少なくとも一年はかかるだろうねぇ。安心おしよ、アタシを誰だと思ってるんだい?

修行なんてちゃちゃっと終わらせて帰ってくるからさ。」

「その自信が一番不安だよ。」

烏羽玉は古ノ森の言葉を全く信用していない。

「ともかく頼んだよ。明日の朝には出立するから。」

「勝手に決めるなよ、まだやるって言ってないだろ。」

「お土産買ってきてあげるからさ、良い仔でお留守番よろしくね!」

そう言うと嬉しそうに尻尾を振るとそそくさと帰っていった。

「勝手な奴だな、全く。」

翌朝、古ノ森は泉川を下り一路伏見へと旅立っていった。

「何が謎が解けるだ、良いように言いやがって。」

古ノ森が伏見に向かった翌日、いつものように笠置山に行き、その後森の岩窟にやってきた烏羽玉は文句を言いながら

「今まで何度もここまでは来てたけど、そういや中に入った事は一度もないな。」

と、巨石が重なり合ったその隙間にある入口を見つめてそう言った。

「大層に我が家なんて言ってるけど、ただの隙間じゃないか。狸に譲ってやってもいいくらいだ。まあ、ともかく入ってみるか。」

持ち主が不在をいいことに言いたい放題である。

「どれどれ。」

ゆっくりと中に進むと、すぐに開けた空間になり、

「意外と中は広いんだな。」

確かに入口は狐一匹が通れるくらいだが、中は畳一枚分位の広さがあり、片隅に藁が積まれた寝床がある。

「あれはなんだ?」

一番奥まったところにお地蔵様のような形の石が地面から突き出ている。目鼻や文様などは何もないただの石だが、近づいた烏羽玉は

「あれっ!」

と、驚いた。

「何だこれは、この石に近づいた途端、体にビリビリがきたぞ!」

「この感じは古ノ森が出す妖気に似ているな。体が動かなくなることはないけど。」

そう言いながら石の周りを探っている。そして少し離れると痺れは感じなくなるので

「何だろうこの石。不思議だ。」

と、しばらく眺めていた烏羽玉は

「よし、決めた。アイツ戻るまで此処に棲んで調べてやる。あの石に何か秘密が

あるはずだ。」

「先ずは寝床だな。」

そう言うと岩窟を出て、村の方に駆け出した。

それからは恋志姫の墓守と笠置山詣での日々を続けながら岩窟で暮らし、石の事を調べる日々が続いた。



後醍醐帝が健在の折には笠置寺再興の勅願も出されたものの、その死後は南朝に組したとして北朝方の目は冷たく再興は程遠いものであった。それ故に境内は荒れ放題で今や見る影もない。しかしながら弥勒摩崖仏は焼失したとはいえ、弥勒信仰を続ける人々のささえとなっていた。烏羽玉もある意味、その中に入っている。

そんなある日、いつものように弥勒菩薩を拝み戻ろうとした時、ふと下の崖を覗き込むと修験者が一人岩窟に向かって何やら唱えている。そこは弥勒菩薩像の向かいにあった伽藍の崖下にある岩窟で、向かい合う二つの巨石(金剛界と胎蔵界の曼陀羅が描かれていたとされる)の間にある千手窟(せんじゅくつ)と呼ばれる場所で、弥勒の浄土につながるとされた所であり弥勒菩薩像と並んで笠置寺における最も神聖な場所である。

「そういや前は沢山の御坊達がおまいりしていたな。」

修験者が去ったのを見届けると、

「ちょっと覗いてみるか。」

笠置寺にきて以来、人の往来があった為に遊び場としては来なかった場所である。

その前に立つと奥から冷たい風が吹いてくる。

「見た目は古ノ森の岩窟みたいだけど、何か凄く入りづらいな。」

霊気のようなものに阻まれたようで、おいそれとは中に入れそうにない。

かつて、東大寺の造営を指揮した良弁は、伊賀で採った木材を泉川(現木津川)を使い運搬するにあたり、笠置の鹿ヶ淵(ししがふち)にあった「笠置の盤石」と呼ばれる難所を通れずに困惑していた朝廷の相談を受け、千手窟に籠り千手の秘法を行ったところ雷神が現れ盤石を破砕し、筏は難なく下ることが出来たという。

また、良弁の高弟、実忠は千手窟から弥勒菩薩の修行する兜率天に至り、聖衆の行法を目にしてこれを人間界に持ち帰って、笠置寺正月堂で修正会という法会を初めて行った。この行法は翌月、東大寺二月堂で行われ「修二会」「お水取り」として現在まで脈々と続けられている。

そんな謂れがある場所なので、修行中の身である者たちが大勢訪れるのである。

「うーん、」

入口で唸りながら入るかどうかを迷っていたが、

「やっぱりまた今度にしよう。」

そう言ってその日は千手窟を後にした。

それから何度か前まで来るものの、やはり中には入らずに外から様子をうかがう程度で、年月だけが過ぎて行った。


「全く何が一年だ、ちゃちゃっと終わらせるだと、もう五年にもなるぞ。」

森の岩窟で烏羽玉はぼやいている。ここの居心地は決して悪くはなく、どちらかと言えば快適に過ごしている。この年に十三歳を迎えていた烏羽玉であるが身体は衰えず、ともすれば元気が漲る様な具合だ。当時、一般的にはとうに寿命を終えていてもおかしくはない。しかし、今の烏羽玉は数年前と変わらない姿で

「いつ戻ってくるんだろうかアイツは。このままじゃ退屈で死んじまいそうだ。」

などといって、時間と体を持て余しているのだ。

唯一つ、その体に少しの変化が表れ始めていた。ある日の明け方、何やら身体に違和感を覚えた烏羽玉は

「うん?なんだか尻尾がムズムズするぞ。」

そう言って寝床から出て、己が尻尾を見て驚いた。

「なんだ!先っちょが裂けてるぞ。昨日まで大丈夫だったのに。どこかで引っ掛けたか?」

確かに僅かではあるが尻尾の先が割れている。しかし、血が出ているわけではなく

傷らしき跡もない。

「なんだよ、これじゃあ格好悪くて外を歩けないじゃないか。」

そうは言ってもこんな山中で誰に会うこともないのだが、本人は気になるらしく

「あーもう、これも全部アイツのせいだ!」

と、今は留守の家主に毒づいている。

「しばらくは外に出かけるのはやめだ!」

そう言うと寝床の藁にもぐりこんだ。だが、数刻もすると、退屈が頭をもたげ

「こんな所に籠ってたら腐っちまう。」

飛び起きて表に出ようとして、何気に奥の石に触れると

「ん?」

いつもなら体に軽い痺れがおきるのに何故か何も感じない。

「おかしいな?」

改めて石に触れなおすが、やはり何ともない。

「なんでだ?ビリビリはどこにいったんだ?まるで何も感じないぞ。」

ペタペタと石を触ってみるが昨日までの感触とは全く違う。

「まあ、しょうがない。俺が考えて解るわけないし。」

実は、この岩窟で過ごしている間に謎の石について調べようと思った烏羽玉だったが、そう事は簡単に運ばず、全くもって謎は謎のままであった。なので烏羽玉は数年前から石の事は諦めてただ普通に過ごしてきた。特段拝むわけでもなく、只々そこにあるだけの存在になっていたのだ。しかし、この石と長い間過ごすうちに知らず知らずに妖気が烏羽玉に影響を及ぼす結果となっていたのである。

この日を境に烏羽玉には様々な変化があらわれだした。

「旨そうな鳥だな。」

餌となる野鳥を見つけた時、いつもなら慎重に時間をかけて狙いを定めるのだが、何故か狙った獲物がピタリと動かなくなり、あっさりと捕まえることが出来た。また、耳や目が今までになく良くなり、気配を感じる能力も格段に向上していた。そしてあの千手窟に少しづつではあるが、入っていける様になったのだ。

「あのビリビリの石も、ここの岩窟も、もしかしたら妖気が関係してるんだろうな。

俺が少しづつ妖気が使えるようになってきたのかも知れない。」

それから更に五年が過ぎ、烏羽玉の尻尾は三分の二ほどまで裂け、また五年後にはすっかり根元まで裂けて立派な二本の尾になっていたのだ。そして気が付けば猫又に化けていた次第である。


「と言うわけさ。だから俺が何かした訳ではないんだよ。」

横で聞いている古ノ森は

「あの石にそんな不思議な力があったなんてちっとも知らなかったよ。小さい頃から

ただの飾りだと思ってたからね。」

と感心している。

「なんで気づかないんだよ。毎日隣にあったろうが。もっと早くに気が付いてたら・・・イヤ、やめておこう。」

烏羽玉は言葉を飲み込んだ。それは言っても詮無き事だとわかっているのだ。

「そう言えば、母親が“この石は我が家にとって大事なものだ”って言ってたっけ。」

烏羽玉の様子を酌んでか、ちょっと惚けたように言うと

「アタシが此処を貸してあげたおかげだね!感謝しなさいよ。うんうん、いやぁ長らく家を空けた甲斐があったよ」

と、ニコニコと笑っている。

「おい、笑って誤魔化してるが一体、何年かかったんだよ修行に。何が一年だ、何が

ちゃちゃっとだ。」

その話には触れずにおこうと思っていた古ノ森はギクッとして

「そ、それはだねー、あの~その~、あっ、あれだ!アタシがあまりにも有能な妖狐

だって事で特別な修行があってね、それでその、」

しどろもどろで答える古ノ森。

「と、とにかくちょっと他人より長くなっちゃたんだよ。それにね、妖の十五年は人でいうところの一年みたいなもんでさ、そこをちょっと説明しておくのを忘れちゃって。」

何とか誤魔化そうと必死である。

「まあ、無事に妖に成れたんだし、よかったじゃない、ね。」

「無事にじゃねえよ!こっちは何年退屈したのかわかるか?おまえがサッサと帰ってきてりゃ、退屈しのぎにもなったのに。」

どうやら烏羽玉も古ノ森が戻ってきたことにまんざらでもない様子である。

「悪かったわよ、だからもういいだろう、怒んなくても。」

「・・・仕方ないな。」

どうやら話は落ち着いたようである。

「それはそうと、さっきの話。千手窟には結局入ったのかい?」

と、古ノ森は話題を変えると

「実は入った事は入ったんだけど、何のことはない只の洞穴だったんだよ。」

「え?何にもなかったの?」

「ああ、何も無かった。」

「ふーん、・・・・・ねぇアタシも入ってみたいんだけど明日行ってみないかい?」

古ノ森はちょっと考えた後そう言いだして

「何かがあると思うんだけどねぇ・・」

何やら思うところがあるような素振りだった。

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