外側
テーマソングを無事? 完成させた無味無臭は今日も今日とて
「よし。では早速だが今日から企画に入る」
といつものようにリーダーが議題を掲げると。
「企画かぁ。なんか企画って言い方すると芸能人とかユーチューバーになった気分だよね?」
と香織は誰となしに言ったのだが、残りの3人が一斉に香織の顔を覗き込む。
「えっ? な、なに?」
香織以外の3人は顔を一度見合わせると「フゥ」と溜息を吐いてからリーダー。
「そうか。私の脳内では既に誰かが話していると思ったが、誰も香織には話していなかったのか……まぁいい。いいか香織、これはユーチューバーになった気分……ではなくユーチューブの企画そのものだ」
「えっ? そうなのっ! じゃあ私達ユーチューバーになるの?」
しかしリーダーは静かに首を振り。
「違う。Vチューバーの外側の人だっ!」
「Vチューバーの外側の人っ!? 中の人って単語は聞いた事あるけど外側の人って初耳なんですけどっ!」
驚く香織にリーダーは口の端を釣り上げ。
「画期的だろう? 何せ世界初だからな……因みに私を担当する中の人は『キズナ・オイ』という」
「キズナ・オイッ! なんか中の人の方がVチューバーっぽい名前してるんですけどっ? あ、一応中の人もVチューバーって言えばVチューバーか……。えっ? でもさぁ、中の人がいるならなんで私達が企画練ってるの? 変な話だけど普通に考えたら中の人達が企画するもんじゃないの?」
「まあ、そこは仕方ないだろう。中の人達はモニターの中から出てこれないのだから……」
「?」
っと頭に疑問符を浮かべる香織だが。
「逆じゃないっ!? 普通Vチューバーって側がモニターの中で、中の人はリアルの世界で普通に活動出来るもんじゃん!」
「そう考えるとVチューバーって外側がモニターの中で、中の人が外の世界で動き回れるってあべこべだよね?」
と半笑いで述べる童子だが。
「側も中の人も外の世界で活動してるバ美肉おじさんがなんか言ってるんですけどっ!?」
と、そこへ更に三世がカットイン。
「あ、バ美肉おじさんで思い出しましたけど。私の中の人はゴリラだそうです」
「バ美肉ゴリラッ!?」
「因みに香織女史の中の人は反抗期のゴリラだそう」
「バ美肉反抗期ッ!」
「あ、
としみじみ頷く童子。
こうして無味無臭の4人はアイドルVチューバーとしてデビューする事になった……らしい。
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