鶴の恩返し

 むっかし昔、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。


 ある雪の日。お爺さんが町に日焼けマシンを売りに行った帰りに、一羽の鶴がボディビルダーを捕まえるための罠に掛かっているのを発見しました。これをかわいそうだと思ったお爺さんはボディビルダーを捕まえるための罠を助けてあげると、そのまま家へと帰りました。


 雪が積もるその日の夜。お爺さんとお婆さんの家に「フランシス・ザビエル」と名乗る一人の筋骨隆々ムッキムッキの美しい娘が訪ねてきました。話によるとフランシス娘は親と死に別れ、会った事もない親戚の家へと行く途中に道に迷ったので、一晩泊めて欲しいとの事でした。

 お爺さんとお婆さんは快くフランシス娘を泊めてあげる事にしたのまでは良かったのですが、雪はそこから数日間止まず。最終的にフランシス娘はお爺さんとお婆さんの娘になる事となりました。


 するとフランシス娘は翌日――


「織物をしたいので糸を買ってきてくれませんか?」というのでお爺さんが糸を買ってくると「私が織物をする間は、決して部屋を覗かないで下さい」。というのでお爺さんとお婆さんは約束通り部屋の中を覗かず美容系ユーチューブをずっと見ていました。

 そのままフランシス娘は三日三晩機織りを続けますがその後、部屋から出てくると――汗だくで息も絶え絶えでしたが見事な反物「ビキニアーマー」英語で言うと「メタルビキニ」を引っ提げて出てきました。

 そしてフランシス娘が「このビキニアーマーを売って生活費の足しにして下さい。それと新しい糸も買ってきて下さい」というのでお爺さんが試しにビキニアーマーを町に売りに行ってみると、ビキニアーマーは日焼けマシンよりちょっとだけ高く売れました。なのでお爺さんは新しい糸を買って帰ると、フランシス娘は新しい糸で今度はもっと上等な、防音機能の付いたビキニアーマーを織り、それを売りに行くと今度は日焼けマシンよりかなり高く売れました。

 フランシス娘は更に高性能なビキニアーマー……防音だけでなく防弾機能の付いたビキニアーマーを織ると言って再び部屋に籠ります。しかしこうなってくると、お爺さんとお婆さんはフランシス娘が糸だけでどうやってビキニアーマーを織っているのか気になって仕方がありません。

 なのでこっそり部屋を覗いてみると、中ではフランシス娘が修羅の形相でスクワットをしていました。しかしフランシス娘は至って冷静に新しいビキニアーマーをお爺さん達に渡すと。

「見てしまったのですね。実は私はあの時に助けて頂いたボディビルダーだったのです」

 と言いますが別にお爺さんはボディビルダーは助けていません。

「本当は貴方達の娘でいたかったのですが、こうなってはもうここには居られません」

 とだけ言うとフランシス娘はビキニとなって山の方へと走って行ってしまいましたとさ。


 そしてその日の晩。お爺さんとお婆さんを一羽の鶴が訪ねてきたのは言うまでもありません。めでたし、めでたし。

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