三匹の子豚

 昔あるところに、三匹の子豚の兄弟が居ました。


 長男はなまけもので名前は「焼豚やきぶた」。

 次男は面倒くさがり屋で名前は「酢豚」。

 三男は臆病者で名前は「海豚イルカ」といいました。


 三匹の兄弟は母親の下を離れてそれぞれ暮らす事となり、なまけものの焼豚はワラで家を造り、面倒くさがりの酢豚は木で家を造ったのですぐに家が完成しました。しかし臆病者の海豚はレンガで家を造る……わざわざ土ソムリエまで呼んでレンガを造るところから始める慎重ぶりで――最終的にはゴーレムが完成しました。


 そんな三匹の家が完成した頃。森からお腹を空かせた一匹の悪い狼がやってきました。

 狼の名前は「チーズ牛丼」略して「チー牛」別に豚汁は付きません。

 チー牛は何か食べる物がないか探していると、表札に焼豚と書かれたワラで出来ている家がありました。

 これは美味そうだ……と考えたチー牛は自慢の臭い息でワラの家を吹き飛ばすと、焼く前の焼豚が出てきて困惑するものの、最終的に構わずペロリと食べてしまいました。

 まだまだ満足しないチー牛が食べ物を探していると、今度は表札に酢豚と書かれた木の家がありました。

 これも美味そうだ。と考えたチー牛は自慢の臭い息で木の家を吹き飛ばそうとしますが、木の家はワラの家のように吹き飛ばなかったので、チー牛は仕方なく自慢の臭い体当たりで木の家を吹き飛ばしました。そうして中から出てきた酢豚は思っていたのとちょっと違いましたが、チー牛は構わずペロリと酢豚も食べてしまいました。

 しかしそれでも満足しなかったチー牛は更に食べ物を探していると、表札に海豚と書かれたゴーレムが現れました。


「いや確かにイルカって海豚って書くけど普通『焼豚やきぶた』『酢豚』ってきたら次は『豚トロ』辺りだろう」

 と思わず呟くチー牛ですが、海豚を搭載したゴーレムはそんな事はお構いなし。兄二人を食われ怒り心頭に発する海豚は問答無用でチー牛を駆逐しにかかります。

 そしてこの時、チー牛は自分が狩る側ではなく狩られる側なのだと自覚をしました。

 しかしチー牛も黙ってられる気は更々なく、自慢の臭い息や自慢の臭い体当たり、そして超必殺技である「生涯に左右の拳で一発ずつしか撃てない必殺のパンチ……しかし一発の威力は核爆弾に匹敵する臭さのキック」という名前のチョップでゴーレムに応戦しますが、海豚のゴーレムは選びに選び抜かれた土ソムリエの血から造られていたので核シェルターを凌ぐ防御力があったのでチー牛は相手になりませんでした。


 こうしてチー牛を豚まんにした海豚は無事、焼豚と酢豚の仇を討つ事が出来ました。何事も慎重過ぎるくらいが丁度いいというお話でした。めでたしめでたし。

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