大魔王
それは――やはりというべきなのか、いつものようにリーダーの一言から始まった。
「お前達。当然だが魔王は知っているな?」
いつもの吉野
「魔王ってあの〜RPGとかでラスボスやってたりするあの魔王?」
「そう、その魔王だ」
と両腕を組んで深く頷いているリーダーに三世。
「で、その魔王がどうかしたんですか?」
「ああ、実はフト思ったのだが、魔王の上位互換に大魔王がいる訳だろう? その割に中魔王や小魔王というのは聞いた事がないと思ってな……お前達は聞いた事があるか?」
これに童子はアゴに手を当て虚空を眺める。
「あ〜確かに言われてみれば、コンビニとかスーパーの袋って大中小ってあるし、おみくじも大吉、中吉、小吉ってあったりするよね?」
そして更に三世が続く。
「そうですね。あとはドリンクとかTシャツだとSサイズMサイズLサイズってあるのに魔王はないですもんね? 大魔王はSサイズMサイズLサイズってあるのに……」
「なんで大魔王はちゃんとサイズ取り揃えてんのっ!?」
驚愕の事実を知る香織だったが。
「え? いや、だって大魔王っていったらダーク・モカ・チップ・フラペチーノの事ですよね?」
「いやちょっとそれっぽい名前だけども……てゆーかダークモカチップフラペチーノだったらSMLじゃないじゃんサイズ……」
と言いつつ香織は続ける。
「てかさ、そもそも世の中って大が付くものでも大中小って揃ってる物の方が少なくない? 魔王に近いので例えれば幹部が大幹部とか、ベテランが大ベテランとかさ」
これに同意したのか三世。
「あーでも確かに言われてみればそうですね。うんちも大便と小便しかないですし」
「いや、そもそも小便はうんちじゃないんですけども……」
とボソリと呟く香織だが、そこへ透かさずリーダー。
「何を言っているのだ香織。それを言ったらビッグ・ベンもうんこじゃないじゃないかッ!」
「そりゃそーだよ。大体ビッグは英語で
と言っているその横で童子。
「え? じゃあ大も日本語で魔王も日本語の大魔王はうんこで合ってるって事?」
「そーゆー理屈になりますね」
とウンウン頷く三世に透かさず香織が突っ込む。
「どーゆー理屈ッ!?」
「屁理屈」
「うんこだけにっ!?」
うんこだけに。
という事で無味無臭の中では大魔王はダークモカチップフラペチーノではなく大
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます