かぐや姫 誕生?編

 5人の候補者が「俺はかぐやの嫁」クエストを失敗した事により、時の権力者である帝「三遊帝さんゆうてい 獪座猗かいざあ」(元・落語家)が満を持してかぐや姫の婿候補に名乗りを上げました。


 しかしかぐや姫は月に帰る気満々だったので、5人の候補者が失格になった時点で月に連絡をし、お迎え係の月の民である「ゆるふわ系」のオーガ達は既に月を出発していました。なのでかぐや姫はそのままの事情を話して三遊帝に結婚は出来ない、更に「そもそもお前なんて金儲けの道具としか見ていない。つまりコンビニに陳列されている商品ヤクルトと同じだ」と言って断りを入れましたが――実はこのキツ目の言葉が逆に三遊帝の性癖に確りと刺さっていました。

 しかしそれはそれとして、三遊帝としては一先ず月からやって来るスイーツ女子オーガ達を退けなければかぐや姫を月に連れて帰られてしまう……と考えたので、三遊帝は「反抗的な態度に定評のある小料理屋」達を使ってオーガ軍団を迎え討つ事にしました。


 こうして次の十五夜。いよいよ月の使者である理系女子リケジョオーガ軍団と反抗的な態度に定評のある小料理屋の女将達との、かぐや姫と魔界の運命を懸けた戦いの火蓋が切られました。

 序盤は大方の予想通り女将達がオーガ達を圧倒しましたが、この序盤のアドバンテージは終盤までひっくり返らず、このままいけば女将達の圧勝かと誰もが思っていました。しかし、元々かぐや姫と三遊帝の結婚には反対派だったタケ・ナカハンベエが――天才軍略家の異名を持つタケ・ナカハンベエが急遽オーガ達の味方についたので戦況は一変。最終的にオーガ達が逆転勝利を収めました。

 なのでかぐや姫達は無事、月へと帰り。反抗的な態度に定評のある小料理屋の女将達は大人しく魔界へと帰りました。


 こうして――この戦いは後に「かぐや姫は告られたくない~天才軍略家の失恋肉弾戦~」と呼ばれるようになり、青平あおだいらアオの手によって漫画化され人気を博し、アニメ化や実写化までされる――誰もが知っている、愛されるおとぎ話となりました。

 因みに、この戦いで三遊帝獪座猗はちゃっかり命を落としていて、過程はどうであれ結果だけ見れば推し活中に命を落とした事となり、三遊帝獪座猗は後に「推す死の子」と呼ばれるようになりました。めでたし、めでたし。

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