012冷静になれと言うがそこまで人間出来ちゃいない

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ハルミヤ地方 ロゼルトタウン 宗波山そうばさん


青々とした自然に、桜の桃色が映える。

絶好の花見日和だというのに、推定不審者の4人組は花を見ることもせずひたすら地面を睨みつける作業をしていた。

春特有の強風が4人の身体を揺さぶる。


「……花の採集ならば、森。この近くに人の手が加わっていない森ならば宗波の山。……着眼点は悪かねぇな」


相変わらずスパスパと煙を喰らうモモヤマがボソリと誰に言うでもなく呟く。

カサリと草をわける手が煙管を撫でる。


「んで?あの魔導士さん、アンタのお眼鏡に敵うほどのモンかよ?」

少し離れた場所で一升瓶を傾けているニコラスに、モモヤマは投げかけた。チロリと此方に視線を寄越したニコラスの目には趣味の悪い愉悦が僅かに、好奇心が少々、あとはアルコールの熱が浮かんでいた。


「んー?筋は良いと思うよぃ。後は……アレにきづくだけぇ、らね?」

クックッと喉を鳴らして面白くもないのに笑いをこぼす。一升瓶の酒がチロチロと太陽を反射して美しい。


「全く、趣味の悪いお人ですね……」

「そぉんなの、いまさらでしょーよ?」

「えぇ、そして、そんな貴方に惚れ込んだ私も馬鹿な男ですよ、本当」


言葉の割にはケロリとした音でクラップスはニコラスに返事をかえす。

手には、モーニングスターを模したのであろうワンドが握られていた。



一方、彼等から離れた位置で草木を分けるガンジャは血眼で目当ての花を探っていた。


ヒメシラユリ___特別珍しい訳でも、高価な訳でもない。そこら辺の花屋や万事屋に行けば、まぁそれなりの値段で購入が出来る花。

主な使用用途は傷薬や香水など。


コレがガンジャが件の花に抱くイメージである。

ヒメシラユリは森___あえてゲームの様に表すなら『はじまりの森』に自生することが多い。

それだけ、何処にでもあるのだ。

だから花屋で買って納品すれば良いとガンジャは最初、彼等に申し立てをした。しかし、奴等はのらりくらりとガンジャの言葉を躱し挙句地元の山くんだりまで締切目前納品遠足……という訳である。


この怨み晴らさでおくべきか……とまでは行かずとも、メラメラと怒りの炎が腹で燃え上がっている訳なのだが、そんな事あの色物衆に言える程の度胸があるはずも無く、こうしてだんまりと草を掻き分けているのだ。


3月の下旬といえど、吹き付ける風は冷たいものでマントが無くては凍えてしまいそうになる。

ヒメシラユリは、こういった寒冷な風に弱く主に芽を出すのは4月半ばの天気が落ち着いてきた頃合いが多い…………ん?


はたと、そこで思考を止めまた回す。


今、ヒメシラユリはいつに芽を出すといった?天気が落ち着いてくる4月の半ばだ。そして、今は春休み真っ只中の3月下旬___

己の顔から血の気が下がり、急激に沸騰する様な感覚に襲われた。


アイツら、たばかった。オレを、たばかりおった‼︎



眼前が赤く染まった様に錯覚した。ガンジャの暗い紫の瞳に明らかな怒りが灯る。サクサクと青い芝を踏み締めあのボンクラどもに詰め寄る。

もはや冷静さは、溶け切って霧散寸前であった。


「っっ!!!!あンの!!碌でなしどもがぁァア!!!!!!!!!」


怒声は、樹齢をゆうに100は超すであろう大木でさえ揺らすほどの超振動であった。

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もう終わりだよ、このパーティー 常世 悟廻 @tosaka3710

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