第9話 面倒なこと
そうして、チャットだけで、たぶん二日ほど使ってしまったのだった。
いやぁ、まあ、その。
二日もチャットをやってたのはさぁ、しゃーないやん? 聞きたい事が次々と出てくるんやさかい、しゃーなしやで、せやかてクドー。
で、分かったことなんだが。
転生の補助って、くそ面倒。それが、分かった。
いや、ほんと、面倒。やりたくない……。
だってさぁ! まず! 転生者の見つけ方って
{転生者はいろどりみどり。どんな人でも好きに選べます}
ってなんだよ。あんさん、そりゃないぜ。ナニを基準に選ぶんだよ。
{くわしくヨロ}
{べつに徳を積んでるとか不慮の事故とかこちらの手違いとか、死んでる死んでないとか関係ありません。誰でもオールオッケー! 選んだ転生者は死者も生者も現世から消えます。ここに着いた彼らの望みは「本」で分かりますので「徳を積んでたから転生できた」とか「神の手違いだからチートが貰える」とか納得できる「理由」「設定」を「後付け」して穏便にことを運んでください。説得がむりなら記憶改ざんで、オールオッケーです}
おふぅ。記憶を改ざん、ときたよ? 怖っ!
{ラノベでトラックが多かった理由?}
{チュートリの設定のまま、転生数をこなしたから}
だってよ。
おいおいおい前任者よー。なんだかなぁー。
まあ、徳を積んでないとダメな転生とか、そんなんじゃあ全ての転生様式は網羅出来ないもんなぁ。物に転生したいとか、転生を担う女神にできない転生なんて、ない! ってことか。
さらに転生先の世界についても聞きまくった。
{転生先は転生者の記憶をつかって作成します}
という、なかなかの爆弾発言。
{作成? 剣と魔法の世界が最初っからあるんじゃないの?}
{いいえ違います。転生者は十人十色。転生者に合う世界を毎回つくった方が無駄がないですし、話が面白くなります}
{話?}
{転生後の世界に楽しみが増えれば増えるほどポイントも増えます}
だってさ。
なるほどたしかに。転生者の記憶にない世界、たとえばSF的な世界に剣と魔法を期待してる人を飛ばしても、対応出来ずに詰むだろう。
詰むと女神ポイントも増えない。というか、転生先ですぐ死ぬとポイント収支がマイナスになるそうだ。それを続けてると最悪、女神自身が消えてしまうという。「転生後の世界を覗いて楽しむ」のがポイント絡みというのも、ラノベあるあるかも。
紙の本の話でいうと、
{なんで本を開いてるとき転生者は固まってるの?}
{あの時点でもキャンセルできるように}
え? キャンセルとかあんの? まあ嫌な奴を転生させたくないもんなぁ
キャンセル後の転生者がどうなるのか聞いてみたが、返事なし。うっ、チョットコワイ。
{スキルってどうやって与えるの?}
{運動系、たとえば剣豪の場合、習得するまで剣の修行を実際にさせます。何年も何千年もかかりますが。
とか、なにそれ怖いっ! て話もあった。
スキルスイッチをポチーっ! はい終了、じゃないのは意外だった。
{知識スキルはスイッチぽちーです}あ、そうでっか。
ちなみに、
{スキルを待ってる時間は無駄じゃない?}
{何千年もの時間はスイッチをポチっと押せば進みます}
だという。
ん? じゃあつまり全部スイッチをポチで同じこと? って思ったら違うらしい。
{転生者がスキルを身につける時間は絶対に必要です。あなたにとってはその時間は無駄なのでスイッチポチで飛ばせます}
という。わかったような、分からんような。時間の流れもこの白い世界では特殊なのだろう。
{魂にスキルを刻むんじゃないの?}
{魂とかw ウケルw 笑わせるw}
とか言い切る紙。いやはや。
まあ、ここの白い世界はそういうところということで何とぞ、ヨロ。
(ヨロっていうの、二日間で癖が移ってしまった)
そんな二日間が過ぎて。
とうとう初めての転生補助をやるときがきた。
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