第7話 らしい。件。

どうやら俺は、駄女神に転生したらしい。件。


半透明な俺。

紙という神(ややこしい)が手もとにある。

あと机。

それだけ。のこりは白い世界。

ここで転生者を助け(?)て転生させ、いろんな転生者を迎え、送り出し、女神ポイントを稼ぐ、それが仕事、らしい。

仕事? ああそう考えると、嫌だ。

…。

……。

………。

いや、いやいやいや。

俺は望んでないぞ。

だれがこんなのを望むんだ???

このなんんんんんんんもない、白い世界で。

やって来るのか招くのか、降ってくるのか湧くのか知らんが!

赤の他人を、楽しそうな異世界に、導く?

冗談だろ? ふざけるなよ?

だ、れ、が!! やりたいんだよ、こんな仕事!!

紙に文字が浮かぶ。

『あとをたのむ  めがみ』

「ふっざけんじゃねーーーーーーーーー!!!!」

紙にパンチをぶちこむっ!

だが紙はひらひらと小さな抵抗を生み出すだけ。

手も紙もダメージゼロ。

紙を歯で噛み、引きちぎろうとする。

むぎぎぎぎ。効果なし。

くっそ!

最低、最悪な転生だ。

「どうやら俺は、駄女神に転生したらしい。件。」

なんてラノベ、誰が読むんだよ……。

白い世界だけの世界で、だれがマンガにしてくれるんだよ……。

イケて四コマ、間違ってアニメ化しても五分もの。最大限、むちゃくちゃがんばってもそこまで。

映画化? 実写化? むりむりむり。絶対ムリ。

……。

終わった。俺の人生。

……。

「どうやら俺は、駄女神に転生したらしい。完。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る