第5話 チュートリアル

「イヤーーーーーーーー!!!!」


俺の情報も筒抜けだったの?

嫌すぎるぅぅぅぅぅ。

目の前がふわっと明るくなった。

光が消えるとそこには先ほど亡くなった「チュートリ青木 啓吾」が立っていた。

しかし、動かない。

しばらく待ってみたが、動く気配がない。どうやら固まっているようだ。時間が止まっているとも言う。

『本を開いた状態では次のチュートリアルに進みません。

 つぎに進む前に本の使い方を学びましょう』

ああそうですか。

というかだったら転生者をここに呼ばないでください。石のように固まった青木さんを見ながらチュートリアルを進めるのは、なんだか気が引けます。

『本には情報が載ってます』

しってます、はい。

『この情報を元に転生先や能力などをあらかじめ決めておきましょう』

そうか。いちいち聞いてたら時間かかるもんな。

あれ? でもラノベだと話をしながら決めるんじゃない? とくに能力(スキル)とかは。

『今回はチュートリなので転生先と能力は選べません』

まあそうか。お手軽チュートリアル様ありがとうございます。

『また、一度閉じた本開くには、女神ポイントが必要です。転生先や能力を変更する場合にも女神ポイントを消費します』

でたーーー! 謎のポイント! 女神ポイントってw ラノベっぽいぞ! いいぞいいぞ!

『女神ポイントは転生を完了すると貰えます』

うんうん。

『また女神ポイントの溜め方はいろいろ在ります。ポイントを溜めると新たな転生方法、人数、特殊条件追加などいろいろ開放できます。積極的に溜めましょう!』

うんうん。なるほどなるほど。つまり女神ポイントを溜めると、ありとあらゆる転生ができちゃうってことね。

あの貴族転生や村人、魔王や物にも転生とか。なるほどふむふむ。

もしかしたら元の世界に戻せたりしちゃったりして? 本当にいろいろ出来るようになるっぽいねぇ。ふむふむ。

『チュートリでは転生者は実際には転生しません。死んでもいません。なので気楽にいきましょう。次は会話の仕方を学びましょう』

うん、気楽にね。……うん? 会話? え? カイワレダイコン? 

え? まじで? 大の苦手なんだが……。そもそも転生者って、たいがいインキャ系だろ? インキャじゃないと転生できないって! インキャ専用なんだよ転生っていうものはさぁ!

青木、たぶん、インキャ。俺も、もちろん、インキャ。

それで会話? え? 初対面で? なりたつの?

「えへへ」「うへへ」

で進行するけどそれでいいの?

本が勝手に閉じていく。

え? もふぅ? じゅびんが だまですが?

「あれ? ここは?」青木が動いた!

はじまっちゃったよ!?

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