ぶひっぶぴぴぴぴぴ!ぶっぽーんぶひぶひ!
ボディメイク開始から九ヶ月で四十キロの減量に成功。
体重六十キロである。普通のぽっちゃり女子と変わらん。
ただここからがキツい。筋肉が十分に発達してしまっているため、筋肉の重量でもうそもそも重たいのだ。体脂肪率は二十パーセントくらいまで絞っているんだけど。女性で二十パーセントは大分痩せてる。
ちなみに落ちなかったというか成長したのは胸の部分。澤渡君もよく原理を理解していなかったけど胸筋をつけるとその上に脂肪が乗る。つけるほど乗る。普通部分的につくってことはないし、脂肪は全身をかけて落ちていくと思うんだけど。不思議なものを見たという感じだった。
ひょろひょろだった駒崎君も筋肉が付いてかっこよくなったし、杉野さんも元々ひょろひょろだったのが功を奏して脂肪がないモデル体型になってる。
杉野さんは上手くはまったパターンだよね。筋肉も付いているから引き締まってるし、胸筋に脂肪が乗る効果でぱっと見の印象も良い。細くてそこそこのおっぱいがある女の子って感じ。百六十五センチメートルくらいだからモデルはちょっと難しいかな。でも女の子でもここから伸びる子もいるらしいからね。大学卒業くらいには百七十いってモデルやれそう。モデルはもっとないとダメだっけ?
「今二月。三月までには張りきって告白したいから完璧に追い込むか」
もう運動がやだとか全然思ってなくて、まあ競技は苦手だけど体を動かすことに抵抗はなくなった。
人ってこんなに変わるんだね、ボディメイクって人をこんなに変えるんだね。
そして運命の三月!
「五十五キログラム! これ以上は筋肉が重くて無理だ!」
「ああ、俺もそう思うぜ。じゃあ行ってきな、高津戸のところへ」
「はい、いってきます隊長!」
ビシッと敬礼して我がクラスに入り、高津戸君のところへ行く。
「あの、高津戸君」
「あー、なにー?」
え、態度わる。
「大事な話があるの、今日の放課後、空いてないかな」
「空いてねーよ、俺はデブ専なんだ。ったくよー乙女のように激やせしやがって。豚の方がよっぽど良かったよ、このブス」
デブ専。
デブ専。
デ ブ 専 。
「え、でも以前大月さんには痩せている方が良いって」
「あいつ話し合わせねーとうざいんだよ。お前盗み聞いて信じて痩せちゃったの? 哀れだねぇ、実に哀れ。いとあはれ」
き さ ま ぁ !!
「乙女心をなんだと思ってるんだこのブサイクがー! 私が食べたカツ丼の重さを知れー!」
暴れはじめる私。現場は大混乱です。
女子じゃ抑えられなかったので運動部の男子三人がかりで押さえつけられる私。ブラジャー丸見えである。
「お前なんか! お前なんか!」
興奮しているところに誰かがつぶやく。
「春さんおっぱいは豚ちゃんじゃん」
その一言で冷静になり、丁寧に拘束を解いてもらい、とても丁寧に乱れた制服を整える。
「春ちゃん、その制服は胸で合わせたの?」
直球でボールを投げてくることにゃん。
「せ、制服は、うん、買い直したんだよ。豚のころのはもう着られないから」
かなりひどい言い訳をする私。ブタの脳みそである。
「今は胸で合わせないと着られないんだねー羨ましいー」
「ことにゃん!」
「春ちゃんの生バスト、私とっても興奮しちゃった。挟まれたいー」
「もう、うるさいよことにゃん! わかったよ、悪かったよ暴れて! 高津戸なんてもう知らねーよ!」
この場はこれで収まったが、終業式までの間まで告白ラッシュに遭った。
まだ怖くて自分の顔をしっかりと判断してないんだけど、男子が言うには美形らしいし、なによりおっぱいが撮られていて拡散してしまったのだ。食いつきが良いってわけ。これだからダンシィは。
さあ、ラスト一年、試験勉強の年だ! あとボディメイク部運営!
そう、澤渡先輩は卒業してしまったため、私はボディメイク「部」の部長になった。なんと、ボディメイク愛好会は参加人数が増えて部へと昇格したのである!
これで予算が増えてプロテインへの補助金とか、機材の調達とかしやすくなるね。
試験勉強なんだけど、私は元々地頭が良く豚のころでも黒板を見て理解暗記しちゃっていたタイプである。
さすがに最近はボディメイクに集中したこともあったし追いつけなくなったけど、まだ慌てる時じゃない。集中して勉強すれば取り戻せる。
集中力はボディメイクでは必須の要素だ。
集中してトレーニングすることにより、安全に、かつ効果的に体を鍛えることが出来る。この集中力が勉強でも生きた。
ボディメイクは長時間集中するわけじゃないけど、集中する、という一番難しくて基礎の部分を既に手に入れていたのである。あとはそれを伸ばしていけばいい。
なに、最高学府に行くわけじゃないんだ、間に合う間に合う。
令和大学法学部法律学科を目標に設定することにした。将来は弁護士だな。豚の擁護徹底的にしてやるぜ。
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