第30話 ナノの本拠地
「国城穂美香、αのもとじゃないのね」
「ゲーム世界に閉じ込められた俺を助けてくれたスーパーハッカーだ。彼女となら里音先輩を絶対に救える」
「それは本当に頼りになりそうね。私も一緒に行くわ。春樹を一人にしない」
俺はコードを使って国城穂美香の元へ連絡をつないだ。
「随分とハイテクな装置なのね。まさか端末を用いずに連絡を取るなんて」
「スーパーハッカーらしいからな。これくらいのことが日常なんだろうぜ」
「―――もしもし穂美香だけど?」
「藤宮春樹です。穂美香さん、今日俺は打倒内村礼に動きます」
「おっ、やる気になってくれたかな。嬉しいね、うちのハッカー集団も残りは私だけしかいないから一人だと寂しかったんだよ」
「それはよかった、俺たちなら力になれます」
「ふーん、随分と冷静になってるじゃないの。本当に昨日私と話していた人物とは思えないかな? 彼女のおかげなのね」
「はい、こちらの子は夏菜って言います。最後まで俺のことを励ましてくれました。俺は彼女のおかげで冷静になれました」
「ちょっと春樹、そんなにストレートに言わないでよ。恥ずかしくなるじゃない」
「ごめん。でも本当にそう思ってる」
「……」
夏菜は恥ずかしそうな仕草をしていた。
「ふーん、中々いいコンビのようね。私としてもパートナーは仲がいいに越したことはないわ。それじゃあさっそく始めましょうか打倒内村礼」
「奴の拠点は確認できるだけで複数個所あるわ。以前は堀本凜という人物が住んでる建物を出入りしたり、マジッククラブのオーナーとしての顔を持ち合わせていたけど、ここの拠点はもうなくしたみたいね」
「堀本凜……」
「どうした心当たりがあるのか?」
「ええ、その人物は知っていますし、そいつ内村礼とグルですよ」
「マジで?」
「私はそこの現場に居合わせたわ。そこで私と春樹の先輩の里音さんが襲撃されたのよ」
「ほう、なるほどね堀本凜が、だから拠点を潰したわけか。しかしそうなると少々厄介な事態といえるな」
「どうして厄介なんですか?」
「堀本凜は闇商売で、あらゆる人脈と情報を持っているとされる人物だ。その巧みな交渉術と頭脳は、今後の作戦に支障をきたす可能性がある。仮に追い詰めても逃げられる可能性が高い」
「こちらの動きをよんでくるってことですかね」
「ああ、どうにか奴の動きを抑える人がもう一人欲しいな」
「その役、私に任せてもらえますか?」
「はああああ? なんで春樹の家に勝手に上がりこんでんのよ」
突如ドアを開けて現れた人物は琴音沙月だった。
「ごめんなさい。堀本凜さんからの連絡が途絶えたからおかしいと思って尋ねたら、私ちょうど現場に居合わせちゃったのよ」
「じゃあ、私のことを追ってきたの?」
「ええ、心配になって追ってたら、藤宮君もいたと。驚いたわ本当にゲームが具現化することなんてあるのね」
里音先輩の仮想領域を見たということか。
「この人は誰?」
「沙月さんは、記者ですよ。具現化するゲームを追ってる」
「ほう、記者さんか。そしたら彼女には内村礼の悪行を広めて欲しいかな。これで堀本凛の工作も打ち消せる。だから参加でいい?」
「勿論です」
「待って頂戴よ、確かこの人は堀本凜の紹介で現れて、渡された名刺の場所に春樹が行ったんだよね。どうも信用できないわ」
「そ、それは私があの2人にはめられていたのよ。おそらくこの状況を創り出すための罠として、私が利用されたんだわ」
「いいですよ別に、琴音沙月さん俺はあなたを許します」
「……君、本当に藤宮君なの? 前回会った時は凄い余裕がなかった感じがしたけど」
「気づいたんです。俺には今自分の傍にいてくれる大事な人がいるって。そしたらいつまでも過去に縛られてる自分は間違ってると思うようになりました」
「ふーん、なるほどね。そっちのこのおかげってことか」
琴音沙月は夏菜をじっと見つめた。
「な、なによ。春樹がそうやっていうんだから、私もアンタのことを味方だと認めてあげるわ」
「うんうん、ありがとうね」
うまく話がまとまったようだ。
「さて、会話はこれくらいにしてこの天才ハッカーこと国城穂美香の作戦紹介に入らせてもらうよ。
「お願いします」
「いいね盛り上がってきた。私は先日、内村礼の行動拠点を割出した。今から3人にはそこに向かってもらう」
「ここがギルドナノの本拠地か」
国城補美香が示した場所は高層ビルだった遂にナノの本拠地に侵入することになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。