第24話 ゲームの具現化サイト



「なんで、あなたが私の家にいるのよ」


「別にいいでしょ? 私も仲間に入れてちょうだい」


「はあ、まあいいわ」


「まさか私もアンタたちと同じく、あの消えた生徒たちの記憶が残るとは驚きだわ。優戸のことをしっかりと覚えているのは、幸いだけど」


「……そうね。夏菜さんも辛かったでしょうに」


「私はいいのよ。それより春樹はどうしたのかしらね」


「……」


「前回のゲームを出てからずっと言葉を発していないわ、まあ無理もないでしょうね」


「麗美のことはそれほど辛かったのでしょうね」


「まったく」


「ちょっと、何する気なの? 夏菜さん。今はそうっとしておいてあげた方がいいわ」


「甘いわね里音先輩、春樹相手にはこれが効くのよ」


「え?」


「ドカっ」


「痛っ」


「いつまで、そうやって黙ってるのよ春樹、学校に行くわよ」


「……いいよ学校はどうでも。そんなことよりαをあいつの場所はどこなんだ」


「αの奴は行方知れずよ。里音先輩もこればかりはどうすることもできないっていってる」


「くそが!」


「ひゃっ」


「あ、ごめん、夏菜……ちょっとほっといてくれ」


「わ、分かったわよ。私は学校行くけど、あんたも里音先輩と一緒に学校行くのよ」


「……」


「無視すんな!」


「だからいったでしょ? 今の春樹はちょっと感情のコントロールが不安定なのよ。今はそうっとしておくべきだわ夏菜さん」


「ふん! 冷静なことだわね。でも私には私なりの春樹への励まし方があるんだからね! また来るわ」


「はあ、分かったわ、いつでもきていいわよ夏菜さん」


「じゃあね里音先輩」


「ガタっ」


「はあ、どうしちゃったのよ春樹」


「……」


 俺のせいだ、俺が麗美を助ける力があれば。


 これで2回の集団を巻き込む、MMO世界脱出は俺に深い傷を残していた。


 1回目は消えた生徒の記憶。2回目は麗美の消失。まさか自分にとって麗美がここまで大きな存在とは気づかなかった。


 全てが明かされた時、麗美へのちっぽけな憎しみなど全て消え去ったのである。


 とりあえずαは絶対に許さない。詳細を突き止めてやる。


「春樹、私ももう行くわ。あんたはα捜査に重点を置くんでしょ。何か掴んだら、私に電話しなさいね」


「はい、分かってます」


 少しでもでもはやくαの奴の詳細を突き止めてやる。








「ゲームの世界が具現化するサイト?」


 俺はネットでαについての情報を集めていると、興味深いサイトを見つけた。


「ゲームの具現化に興味がある人物は私に連絡を、作成者は堀本凜……」


 そこには連絡先が書かれていた。


「これは連絡するしかない」


「ただいま電話にでることができません」


 留守番? まあこの時間だしな。メールの方にでも送るか。


「ブルルルル」


「返信? 留守じゃなかったのか?」


「もしもし」


「もしもし堀本凜です。こちら連絡をくれたということは、ゲームの具現化サイトの件についてですか?」


「あ、ああ、そういうことです」


「わかりました。そしたら時刻を提示して直接私の元へ来てください」


「分かりました今からで大丈夫ですか」


 俺は堀本凜という人物に、予定を合わせた。


「大丈夫ですよ。それでは貴方に会えることを楽しみにしています」


「はい」


 俺はサイトに書かれた住所に向かった。


「うん? ここ裏路地だぞ?」


 住所の場所に行くと建物はなく、裏路地だけがあった。


 この中に入れということなのか?


「ああ、もしかして電話してくれたのは君かな?」


「ああ、そうです」


 黒ローブをきた占い師のような恰好の怪しすぎる女性が現れた。


「うちの拠点はかなり雰囲気を出したくてね。普通に来たら気づかない構造になっているんだよ」


「は、はあ」


「見てそこ、そこの建物のエレベータの地下に私の拠点があるんだよね」


「なるほど、これは分かりにくいわけです」


「そういうわけでよろしくね」


「はい」


 俺は黒ローブの女性に案内されて部屋に入っていった。


「改めて自己紹介をさせてもらうよ。私の名前は堀本凜、具現化したゲーム世界を調査してるものだ。君はこの具現化したゲーム世界について知っているのかな?」

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