第18話 三銃士
「安雪? 誰のことだよ」
安雪は智蔵を連れていた麗美に会った次のタイミングであった人物だ。
俺はこいつに散々な目にあわされたが、里音先輩が来たことで一難を逃れていた。
だが今は記憶が無いようである。
「他の生徒はどうしたんだ?」
「ああ、君主様の命により俺が片付けた」
また君主、こいつもおそらく智蔵と同じ状況なのか。そしておそらく君主とは麗美のこと……。
「俺はなあ、何も覚えてないんだ。なぜここにいるのかも分からない、ただ君主の命だけが頭に残っている。そして何よりこの破壊衝動が抑えきれないんだよ!」
「うわっ、これは炎属性の魔法?」
次の瞬間、安雪は手から魔法を放ってきた。
「胸が熱くなるよな。こんな魔法が使えるようになったんだから、目の前の敵を焼き尽くして、破壊してやりたくなるんだよなあああ!」
「こいつ」
「ひゃははははははは!」
安雪は炎魔法をあたりかまわず連打していた。
「こいつ、初対面の俺の胸倉をつかむくらい気性が荒かったが、更に気性が荒くなっているな」
「くらえええええ!」
安雪は今度俺に標準を定めて炎魔法を打ってきた。
「バシッ」
「何? はじいただと?」
俺は安雪の炎魔法をはじいた。
「ひ、ひいいいいい」
「バシバシバシバシ」
俺は安雪の全ての炎魔法をはじいていった。
「たしかあの時はこうやられたんだっけ?」
その後俺は安雪の胸倉をつかんだ。
「ぐはっ、やめ、やめてくれ」
「俺はお前に前回こうやられたんだから仕返しだ!」
「前回、お前その顔確か……うっぐああああああ」
胸倉をつかんだことで俺は安雪のHPを削っていた。
そのことにより安雪は自我を取り戻したのだろうか。
「お、お前は確か春樹……」
「おう、やっと思い出したかよ。お前の嫌いな底辺高校通いの生徒がエリート高校に来てやったぜ」
「ふん、エリートも底辺ももうこうなったら関係ねえよ。俺はたくさんの人をこの手でやっちまった。もう俺もみんなと同じところに行く」
「そうかよ。じゃあ望み通りしてやるよ」
「悪かったな」
「あ?」
「前お前にやったこと、今なら悪いと思う。それと麗美の奴、あいつは俺みたく生ぬるくねえから気おつけろよ」
「なんだか調子狂うぜ安雪、お前今更いいやつキャラになるんじゃねえよ。それに麗美はいったい何なんだよ……」
「まあ、今のお前じゃ理解できないことだらけだろうな。俺は言うことは全部言ったからな」
「そうかよじゃあな」
智蔵も安雪もみんな麗美に気を付けろと言っている。夏菜も麗美にやられた。αは麗美がトリガーといった。これだけ状況が揃えば、もう俺は麗美がどんな様子を見せても覚悟はできている。
そう確信して俺は次のフロアへ向かった。
「君、ここから先へは君主様の命によって通ることは許されない」
「お前は確か優戸?」
夏菜の元カレで麗美が寝取った優戸、写真を見せてもらっていたから姿はわかる。やはりこいつもここにいたのか。
ということは……。
「優戸誰のことだ? 俺は君主様の三銃士の1人だ」
やはり記憶がないようだ。
いったいなんで、麗美と一緒にいた男子達はみんな記憶を失っているんだ。これは何かの能力?
「君主様の命により、ここより先はいっさいの侵入を禁じる。破ればこの場で貴様を倒す」
正直麗美の彼氏には特に恨みもないし。ここは穏便にことを済ませたい。
「キイイイ」
次の瞬間左サイドの扉が開く音がした。
「え? 優戸?」
「夏菜! よかった無事だったか!」
「春樹! よかった、やっと合流できた。これはどういうことなの? なんで優戸がここに」
「説明すると長くなる、とりあえず優戸をどうにか説得するしかない! もう一人でどっかに向かうなよ!」
「分かってるわよ。ここに来るまで誰にも合うことはなかったから」
「君が来た道は左サイドか……なるほど、そこへは俺が執行を下した場所となるな」
「執行? 何を言っているのよ優戸」
「俺は優戸ではない。執行とは君主から授かりし使命、これにより接触生徒を全てこのゲームにおいてリタイアさせてもらった」
「優戸が他の生徒をリタイア? いったいどういうこと」
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