第8話 卑怯な手
「なんだてめえら! ぐはっ」
「見張りの先鋭隊がやられたぞ! 敵襲だ! 敵襲!」
「早速来たみたいだな」
俺たちは作戦を開始していた。
「猛将は学校の校舎があった場所、今は城になっているけどそこにいるわ」
「うわ、学校の場所は城になってたのかよ」
「ええ、強固な布陣を作って自分は手を汚さずに、プレイヤーとなった生徒達をナノに引き入れようとしてるの」
「なんて自分勝手なやつなんだ、いったいナノは何を考えてる」
「それは直接猛将に聞くのがいいわね。作戦は正面突破だけでいいんじゃない?」
「え? そんな作戦で大丈夫なの」
「ナノの構成員の平均レベルは30なのよ。ゲーム部を敵に回したのが猛将の運の尽きね」
「猛将は俺たちの実力を知らなかったようだな」
「それもあるけど、普通はゲームのステータス反映をできないのよ」
「そうなの?」
みんなもうなづいている。
「ええ、春樹君は特別で自力でステータス反映が出来たわ。でも他の3人は私が能力でプログラムを書き換えて、即席でステータスを反映させたの」
「そんなことってできるのかよ!」
「簡単なことではないわね。ただナノと同じ原理よ。ナノは先鋭隊に即席の改造ゲームデータを渡してるの。だから仮想領域内でレベルが初期じゃないのよ。その原理を使って私が独自でひそかに編み出した能力だわ」
「天才すぎる!」
「とはいっても、私も初めての試みなのよ。拡張された仮想領域空間に入ったから初めてできた驚きの能力よ」
「まあ、ともあれ! 俺たちも春樹たちの力になるってことよ」
「任せてください!」
「そういうわけだぜ」
「み、みんな」
とても頼もしいメンバーが揃ったと思ったのだった。これはマルチバトルをしたことがなかった俺にとって、凄い新鮮な楽しい感覚だ!
「くらえええええ」
「ぐわああああああああ」
戦況は全てが里音先輩の思惑通りになっていた。
猛将の支部の構成員は次々とゲーム部を前に殲滅されていったのである。
「た、猛将さん! 大変です。ゲーム部のやつらが次々に先鋭隊を倒してしまってます」
「な、なんだとおおおお!? ふざけやがってβの仕業だろ」
「β?」
「てめえには、関係ねえよ、とっととアレを使え!」
「ああ、アレですね」
「クックックッ、このままで終わると思うなよ?」
「ま、真紀ちゃん!」
「瑠美! 助けてよ!」
「は?」
なんだよこれ!
黒服先鋭集団が引いたと思ったら、学生服を着た部隊が俺たちの前に現れた。
「卑怯だぞ! 猛将!」
「まあ、こうなることは予想はついていたけど、いざ直面すると辛いものだわね」
「なんで俺たちが同級生を倒さなきゃいけねーんだよ!」
「おい、友都! 俺らのためにいなくなってくれよ!」
「ち、近寄るなよ!」
「瑠美ちゃん、私のために行ってね」
「やめて真紀ちゃん!」
「私だけじゃないよ」
「みんなもいる!」
「こ、こんなのどうすればいいんだって」
「鉄の壁!」
「道安先輩」
同級生に近寄られて体が動かなくなる友都と瑠美を守るため道安先輩は壁を作って生徒を阻んだ。
「まずMPが切れるかも。友都と瑠美はMP支援を頼む」
「分かりました!」
「里音ちゃんと春樹! ここは俺たちに任せた。2人は先に行って猛将を倒してくれ」
「え! でも先輩たちが」
「俺たちは大丈夫だ! 行ってくれ!」
「ここは道安君たちに任せて先に行きましょう。みんなのMPが尽きる前に私の計算では猛将を倒せるわ」
「分かりました。それではいきましょう」
俺たちは瑠美、道安先輩、友都を置いて猛将先輩のいる城に向かった。
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