第7話 全員集合

「春樹君よかったああ無事で」

「……」

「ひとまず何があったか、聞きたいですね」

「俺たちは今ここに籠城してる」

「籠城?」

 さっきから真剣な顔つきで、腕組をして下を向いている道安先輩が口を開く。しかしその後返答はなかった。

「……」

「私から説明するわ。事の発端はゲーム部の設計図がいきなり暴発したことがきっかけよ」

「どうしてそんなことに」

「分からない、私と道安君で部室にいて、ゲームコンテストに出場して正式な部の手はずを整えようとしていたら、突如設計図の領域が解除されたのよ。それから学校は1~2年生だけを対象にする巨大な仮想領域で覆われたわ」

「なんで1~2年生だけなんですかね」

「おそらく設計図作成が俺たちだけだけだから、3年生はルール外だったんだろう」

「成程、そういうことか」

「道安君大丈夫?」

「大丈夫ですよ。俺が説明します」

 道安先輩の様子がおかしい、何かあったのだろうか。

「でもなんで籠城なんて」

「それから外で騒ぎが起きたんだよ。そこは今のようなファンタジー世界の空間になっていて、多くの生徒が驚きのあまり足を止めていた。そんな中で猛将のやつが全員に聞こえる声で、今から目の前の生徒に裁きを下すっていったんだ」

「そんなひどいことを!」

「目の前の生徒と戦闘をして消滅させた猛将の元に、黒服の集団が集結した。里音先輩曰くナノという組織のメンバーで要するに猛将の取り巻きなんだってな。そいつらがプレイヤーキルを始めるっていって一斉に周囲の生徒を襲いだしたんだよ」

「あいつらめ!」

 ここまで俺が最初にこの仮想領域であった先輩から聞いたとおりである。

「最初は叫び声が響いたがそれも収まった。しばらくすると投降する生徒も現れだしたんだが、そんな生徒にはプレイヤー狩りの命令が下された」

「プレイヤー狩り……」

 そうか、だから最初にあった先輩も俺を襲ってきたのか。

「しかもプレイヤー狩りには懸賞金がかけられている。ナノに投降しない生徒にはみんなこの世界のアイテムを報酬が対価になってるんだ。中でも俺たちゲーム部は超レアアイテムという最高グレードの懸賞金がかけられたんだよ」

「なるほどそういうことだったんですか」

「私たちは危険を感じて直ぐに集まったんですよ。でもこうして無事に集まれたことですし良かったじゃないですか」

「瑠美ちゃん! それを今の道安先輩の前でいうなよ」

「あ、すいません」

「いいよ別に」

 俺は気になって裏で友都を問いただした。

「おい道安先輩何があったんだよ」

「ああ、実は最初に猛将と戦った生徒は女子生徒で、道安先輩の彼女だったんだよ」

「えええ!」

「馬鹿! 声が出けえよ」

「っていうか道安先輩に彼女がいたことに驚きだよ。あんなに里音先輩にアプローチしていたのに」

「俺も道安先輩のプレイボーイぶりには驚きだよ」

「じゃあ道安先輩の様子がおかしかったのって」

「ああ、彼女が猛将にやられたからな。相当堪えてるぜ。しかもかなり怒ってる」

「そりゃあそうだろうな」

「だから今日はそうっとしておいてやれよ」

「ああ、分かった」

 ひと先ず今晩はこの基地で一夜を過ごした。

「ふう、そろそろ作戦を立てますか。打倒猛将だな!」

「やってやるぜえ!」

「流石道安先輩! 乗ってますねえ!」

「やってやりましょうよ!」

 ゲーム部のみんなは妥当猛将に燃えていた。

「勢いで乗ってしまいましたが、大丈夫なんですかねこれ」

「春樹忘れてるわよ。この部のメンバーはみんなゲーム部だわ」

「ま、まさか」

「ええ、あなた同様にステータスも引き継がれているんだわ」

「ま、まじかよ!」

 普段ゲーム部のみんなとはMMOのマルチをしなかった。

 やはりマルチは嫌いだからだ。

 掲示板で、みんながゲームをしていたのは知っていたが、そのレベルは知らない。

「よお春樹、俺の本領が発揮される時が来たぜ」

 レベル85 平泉友都

「あれ? 春樹君私をMMOで誘ったの忘れたんですか?」

 レベル88 戸辺瑠美

「ふん、先輩としての力を魅せる時が来たな!」

 レベル94 道安平太

「みんなそんなに強かったのかよ!」

 レベル100 藤宮春樹

「みんな、打倒猛将と行きましょうか」

 レベルEX 岩本里音

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