第6話 プレイヤー狩りを逆に狩ってしまった

 

「お、新しい獲物のおでましか!」

 

「え!」

 

 次の瞬間黒服の男が現れた。

 

「どうやらその様子だと新しく迷いこんで来たか? 俺の獲物を横取りしやがって、雑魚相手に勝利しても意味ないことを教えてやるよ。入口の先輩の忠告は聞いておくべきだったな!」

 

「誰だお前は」

 

「俺はナノの第二支部先鋭隊の一人だよ。ここでプレイヤー狩りをして、経験値の糧にしてやるぜ」

 

 ナノ第二支部、もしかしてこいつさっきの先輩が言ってた、猛将先輩の取り巻きか!プレイヤー狩りの現場に居合わせたってところかな。

 

「いいだろう! 受けてたってやる!」

 

 そして黒服の男から情報を引き出してやるぜ!

 

「GAME START」

 

 

 

「いでよアイスドラゴ」

 

「グヲオオオオオ!」

 

 アイスドラゴ、アイスドラゴンの低級種族か。まず初心者ではないし、これは仮想領域にいきなり入れられた他の生徒では勝てないわけだな。

 

「確かにみんなの中では強いんだろうけど、残念だけど相手が悪かったな!」

 

「何!」

 

 次の瞬間、俺はアイスドラゴを殴り飛ばした。

 

「馬鹿な……」

 

「次はお前だ!」

 

 続いて黒服の男へ拳を入れた。

 

「や、やられる! 緊急アラーム発動!」

 

「何を!」

 

 男は空高く光を放ち、光は広範囲に霧散した。

 

「ぐはあ」

 

 直後、俺の拳が炸裂して黒服の男のHPポイントが1になった。

 

 これはわざとである。情報を引き出させるのだ。

 

「さっきなにしたんだ」

 

 倒れる男に問いただす。

 

「仲間をよんだんだよ。しかもおれが放ったのはレッドフラッシュ、第二支部の緊急サインだ、お前の元に幹部様が来るだろうぜ」

 

「ほう、お前の仲間の居場所を吐き出させようとしたんだが、そっちから来てくれるなら好都合だな」

 

「は? 馬鹿が、お前は幹部にやられておしまいだよ!」

 

「じゃあな」

 

「ぐはっ」

 

 消滅すると黒服の下から制服が見えた。制服の上から黒服を纏っていたようだな。

 

「GAME CLEAR」

 

 

 

 

 

「さあて、早速幹部様のおでましか、うん?」

 

 次に現れたのは、黒服の女子だった。そして黒服のフードから顔を見ると、完全に知っている人物ということに気づいた。

 

「やっぱりここにいたのね春樹」

 

「里音先輩!」

 

 やっと、俺たちは再会したのだった。

 

「これはいったいどういう状況なんですか!」

 

「どういうこともないわよ。ナノが動き出したの。その様子だと事情は既に知ってるんでしょ?」

 

「え?」

 

 俺の手は震えていた。同じ生徒を2人も消滅させたからだ。

 

「私の恐れていたことが始まったわ。仮想領域の拡大によるサバイバル、既に大半の生徒は仮想領域のはざまに消えてしまったのよ」

 

「どうやったら戻せるんですか」

 

「そんなこと知らないわよ。私もこのゲームのプレイヤーに過ぎないんだから」

 

「そうなんですか、というかなんで里音先輩がナノのレッドフラッシュできたんですか」

 

「言ったでしょ? 私はナノの幹部なのよ。裏ではあなたに協力しているけど」

 

「でも猛将先輩の部下を倒したじゃないですか」

 

「ナノの組織間では些細な問題でしかないわ。私は第一支部のリーダーなの。私の活動を邪魔したから粛清を下したというだけの話ね」

 

 流石第一支部のリーダーは権限が違うんだな。

 

「それはそうとみんなは無事なんですか?」

 

「ええ、もちろんよ! 私たちゲーム部はひそかに拠点を作って、猛将達への対抗作戦を立てているのよ!」

 

「よかった、俺も案内してください」

 

「ええもちろん、そのために私があなたの元に来たんだから!」

 

「はあ」

 

 ひと先ず、安心を感じることが出来たのだった。

 

 

「おい春樹! おめえおせえぞ!」

 

「みんな!」

 

 拠点に戻るとゲーム部のみんながいた。友都も瑠美も道安先輩も。

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