第4話 ネリネの花園

私は今日の昼餉を終え、自由時間がやってきた。

外で遊ぶ者も居れば、院内で本を読んだりしている者等もいる。

その中、今日は私は外へ出向くのだ。


友人の家へ家へと、足が出る。

今日はどんな話をしてくれるのだろう。


ここだけの話、友人の話は面白い。

私の好きな話もしてくれるし、何より彼は物知りなので話が尽きないのであろう。色々と話してくれる。


この間は、私の身体の事の話をしてくれた。

というより、私から聞いたのです。

彼なら知っているかな、って思い、

ほんの少しの浅い期待で聞いてみたら、

という感じです。


それ以外にも話は面白いので、様々な意味で胸が高鳴る。


彼、友人と知り合ったのはそこまで前の話では無いのです。数字で言うと約1年前とか、そういうところ。


私がなかなか院の者達と上手くいかず、それこそ完全に隅の壁と背中合わせだった。今でもそれは変わっていないけれど。

そんな私が外に出て途方に暮れながら道の隅で座っていたら、どこからともなく声がして_今に至ります。


彼は、優しいのです。



と。そんな考え事をしながら歩いて向かっていたら、いつの間にか彼の家に着いていました。


開かれた庭の扉の奥の方から声が聞こえる。


「最近よく来るね。」


ルドベキアの声だ。

その声色は嫌がっていないのが分かる。

彼がスタスタとこちらへと歩く。


「院内にいても、なかなか刺激はありませんから。

それよりも面白い貴方に会いに来てしまいました。」

そして自分の声も喜悦が混ざる。

その言葉を聞いて彼もまた、声は出さず満足そうに少し歯を見せながら笑みがこぼれる。



庭の花壇がとても綺麗。いつも綺麗。

思うに、しっかりと手入れされているのだと思う。


底知れない彼がその花壇の花を見つめているのを見ながら、彼との時間が始まることに対して、私は微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Artificial Natural カンティア @cantia0315

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画