第3話 フリチラリア

目が覚めたら、私は恐れられていた。

目が覚めたら、目の前で人が死んでいた。

皆は、「お前が殺した」と言ってくる。

皆は「お前に呪われた」と言ってくる。

私は人の幸せを願いたかっただけのはずなのに。

なぜ私はこうも人から忌み嫌われなければならないの?

忌み嫌う者達は、どうせそんなくらいのちっぽけな人間だったってこと。

そんなことはわかっている。

わかっているのに。

何処かで、人間を愛したがっている。

私は、呪われた花だ。

普通の人間とは違う身体を持ち合わせているから、

余計に忌み嫌われる。怖くて当たり前。

私を育ててくれていた家からも放り出され、何処ドコで咲いている訳でもない。

そんなこんななので私は両親というものも、家族というものもいない。いわゆる孤児院住み。

目が覚めたらそこにいた。

住みたくて行った訳では無い。

ラゲナリアというものが、私が眠っている間に連れていったと思われる。

孤児院にいるもの達は、

私と同じような者は、いそうにない。

私は肌が黒く、顔は色素はあまりなく。

皆は綺麗な…あれは、何色だろう。

暖かいような。よく分からない色。

白では無いのはわかる。

そんな色。

皆と違う事はわかる。

だからこそ、良くない事を思ってしまう。

ラゲナリアが怖い理由。

私のことを、大切にしてるのはわかる。

けど、あの方の目が恐ろしい。

いつかバラバラにされてしまうんじゃないかって。


でも、どうするわけでもない。

どうすることも出来ない。わからない。

そんな私を見て安心を与え、私は留まる。

良くないとはわかっていても動けない。怖くて。

だから、だから、

誰か、助けてください。

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