ゴッ、と頭を殴られた。
ゴッ、と頭を殴られた。
夜道。俺はゾッとして振り返る。誰もいない。しかし紺色のコンクリートの上に、白く発光する球体が転がっていた。
星が落ちてきたのだ。
拾ってみる。ずっしりと重たいが片手で持てる。まだ2、3歳の幼い星だ。ミルクのように暖かい。
スマホで調べると、星を拾った時の対処法は2つあった。
1.保健所へ引き渡す。2.今夜中に空へ返す。
俺は夜勤明けの体に鞭打って、星を片手に社用車へ乗り込んだ。向かう先は、ここから高速道路を使って1時間のところにある港だ。
舌打ちをしながらも、助手席に置いた星が転がらないよう静かな運転を心がける。
──港に着いた。誰もいない。
俺はどこまでも続く黒い海を覗き込んだ。表面には闇の夜空が揺らめいている。
ぽちゃり。星を投げ落とす。
次いで見上げると、ぴったり頭上で小さな煌めき。
さて、帰ろう……としたとき、ふらり、バランスを崩してしまう。よろけた拍子に後頭部から血が舞った。そうか、あのときから流れ続けていたのか。気がつかなかった。
ぽちゃり、星空へ。
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