ラジオバスがついにやってくる。


 ラジオバスがついにやってくる。

 青森からゆっくりと南下し始めて、既に二ヶ月が経っている。私は中学生という身分のため、故郷である神奈川でじっと待っていた。

 毎日更新されるラジオはYouTubeで聴いていた。夕方の生配信を聴きたいが、その時間は吹奏楽部なので、アーカイブを夜にこっそり聴くのが日課だ。


 ──土曜の夕方。

 停留所の列がラジオバスへ1人ずつ吸い込まれていく。

 そして私の番になった。

 ビーッ、とエラー。ICカードの残高が62円。

 しまった。焦る私。財布を開いて小銭を漁る。10円玉が数枚しかない。

 私は謝りながらラジオバスから降りた。

 そして家まで帰る途中、YouTubeを開いて生配信を聴いた。

「なんか降りちゃった子がいたね!」と運転手が言って、客席がどっと笑う。

 私も一緒に笑おうとして、泣いてしまった。



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