第18話 ゴブリンたち命の危機! ドロンの卑怯の手口。

私たちはゴブリンたちの情報をもとに車を走っていたのだ。

「そういえば名前聞いてなかったな。」

クロワが名前はとゴブリン二人を話しかけるとプイっと横を向きシカトされ。

「おい、名前ぐらいえねーのかよ。」

「やめろブラウン。」

口も出さないゴブリンたちに腹を立ったのか茶髪のブラウンが声を出し、ロールが止めた。


だが気弱そうなゴブリンが我慢の限界なのか、急に言葉を出した。

「お、お、俺は、ま、ま、マッチ。こ、こっちにいるのがグリル。」

「バカ! 言うんじゃねー。」

もう片方のゴブリンを声を出して叫んでいた。

「なんだよ話せるじゃねーか。」

「フン、お前らに話すことはねーよ。」

「やっぱり魔王の幹部の差し金か。」

ロールが言うと急にグリルとやらが目を血走って。

「それは違う!リーダーはそんなことするわけねー。」

「やけに幹部をかばうじゃないか。」


ブラウンが言うとグリルたちは黙った。

その時———

前のほうの車が溝にハマってしまい。出られなくなったのだ。シュガーが言った。

「ロール。ブラウン。すまないが押してやってくれないか。」

「よっしゃ、任せろ!」

二人が車から降り、溝に入った車を押し始めた。運転手の馬もアクセルを一気に踏んだが抜け出せなかった。

フンドシは立ち上がり車を降りてブラウンたちのほうへ向かった。

「手伝いましょう。」

「すまねー。英雄様。お願いします。おい、バロン見張っていろよ。」

「分かっているよ。」


フンドシも加わったブラウンたちは車を押しまくっているところ、バロンはここにいる騎士たちより体格いいのでゴブリンたちが逃げないか見張っていたのだ。グリルがバロンのほうを見て言ってきた。


「なあ、兄ちゃん。手伝ってやろうか。少しは抜け出せる確率があるぞ。」

バロンが笑顔で言った。

「いや、お前らから縄を解いたら、逃げるに決まっている。それに英雄様がいれば早く抜け出せっと思うよ。」

そう言った直後にフンドシが力を振り絞って、溝から出して、皆がホッとして出発する準備をし始めた。

「チッ。」

グリルが苦虫をかんだ顔してマッチのほうを見た。

のんきなことにマッチは縄を縛られた状態で寝ていたのであった。

「では、皆さん乗り込んだことだし、出発しましょう。」


シュガーが言った。その時———。


森の奥から、何か放たれグリルに向かった。グリルはそれを瞬時に避けて恐る恐る見ていた。

矢が刺さって車のドア一部に直撃していた。

グリルはおびえて、マッチは目を覚ました。状況は分かっていない顔をしていた。

「なんだ!」

私たちは驚いて車を止めると、ブラウンがグリルの胸倉をつかんで叫んだ。

「おい、どういうことだ! 狙われているんじゃないか。」

「知るか! おれに向かって放されたんだから分かるわけないだろ。」

「だが、この矢はお前たちのものだろ、てーめら、一対一サシの戦いを認めるってウソだったのかよ!」

「そんなわけがない———。リーダーは嘘をつけないお人だ。それにこんな卑怯なことなんて絶対しない。」

「ドロン副隊長だったらやりかねないかも。」

マッチが言うと。グリルがあっ!と思い出して言ってきた。

「確かに、あいつならやりかねない。」

「誰だよ。そのドロン副隊長ってやつは。」

「リーダーが魔王の世話に言った今、命令をし出しているのはあいつなんだ。卑怯でずる賢くってドスケベのデブの副隊長。」

「陰気な野郎だな。」


ブラウンが引きながら言った。——ふと、私は思い出しグリルに聞いてみた。

「まさかだと思うが、その人とミノタウロスって仲がいいとか。あいつは単独行動しかしないと噂があったのに」

「たしかにミノタウロス様とは仲が良かった。ともに行動を共にしていたくらいの友って言っていた。ちなみにミノタウロス様は子供が大好きで、俺たちをこき使っては可愛い子なら男だろうが女だろうがさらってはコレクションしているとのうわさだ。」

「とんだ変態野郎だな。だからあの村で子供だけ攫っていたのか。」


クロワが顔を引きつって言った。

そう、私はあのときゴブリンたちを連れていた謎が解けたのだ。

「ドロン副隊長も若い姉ちゃんが大好きと言って俺は愛人をつくってやるんだ。いきこんでたくらいだし。」

「作るんなら、勝手に作ってろよ。まったく。」

ブラウンが頭をかきながら言った。

唐突にシュガーが割って入って話し始めた。

「何はともあれ、あなたたちの命は私たちが保証します。ご安心ください。」

グリルはくっといって黙り込んで私たちは出発しようとした時。

フンドシが瞬時に反応して、草むらのほうを拳で薙ぎ払われたのだ。

「あ! しまった。」


姿を見れたのが布切れのような魔物だ。布が長く、目だけついている。口はないし、足もない。手には弓矢が持っていて、たぶん奴らがグリルたちに放った武器だろうと思った。

「あ、お前ら、木綿集団。」

グリルの話によると魔王の幹部の構成員の中で戦闘部隊と武器製造部隊、装飾製造部隊の三部隊がいる。その後者のほうで、彼らは日夜、ゴブリンたちの防具や加護によるものを強化や修復しているだけの人たちだ。

だが、魔王軍の人手不足で奴らも最低限の戦闘を教えてもらってドロンとやらにこき使われているとのこと。

「だからって俺に矢を放つことはねーだろう。」

「仕方ないよ。ドロン副隊長の命令だもん。グリルたちを傷つけていけば、リーダーが駆けつけて倒してくれるって言っていたからよ。グリルの頭に命中してしまったのは想定外だったけど。」


木綿の一人が笑って言った。グリルが嫌な顔をしていた。

私たちはポカーンとして我に返り、クロワが言ってきた。

「魔物!フンドシ、さあ、今だよ!」

「そうですよ!英雄様、奴らを先にぶっこぼこにしてやってください。」

騎士たちとクロワがフンドシを呼び込んで叫んだ。私とシュガーは少し複雑な感情を抱いた。


しかし、フンドシは拳を作らず、木綿たちのほうに向かって言ってきた。

「あなたたちの目には仲間を傷付けないような服や防具を作る優しい目をしている。」

フンドシはその木綿に手をやり。

「何があったか訳を聞こう。」


木綿たちがキョトンとしていると少しの間を取って言った。

「そうなんです。魔物だって感情があります。おいしいものを食べたいとか、オシャレがしたいとか隊員とかは言いませんが、誰だってあります。戦いが全てではないと私たちは思っています。」

「それなのにドロン副隊長は、さっさと娘をさらって、愛人にするっと聞き分けがなく私たちは困り果てています。」


木綿の一人が膝ついて泣きじゃくり、ほかの木綿たち心配そうにかばっいた。

「だったら拙者がその悪者を成敗いたしましょう。」

「だけど、魔物たちを仕切ってくれるものがいなくなっちまう。」

木綿たちが混乱しているとクロワが言ってきた。

「だったら魔王の幹部の一人を説得すればいいんじゃない。」

「たしかに、幹部を三人倒したあなたならドロンの仕掛けていると思うが今のパンチ力を見て、楽勝に攻略できるし、リーダーも強いがたぶん互角に戦える。」

「それにリーダーならあなたの戦いっぷりに惚れると思う。リーダーは正直者は見て取れる人なので、どうかお願いします。ドロン副隊長を倒してリーダーを私たちの部隊にも戻ってもらうよう説得してください。

グリルたちが縄を縛られた状態で木綿たちと一緒にお辞儀をして言ったのだ。


唐突にシュガーが割って入ってきた。

「では、フンドシ様、この魔物を苦しめて追いつめているドロンと言うやつを倒すために魔王の幹部の一人を説得に向かいましょう。」

シュガーは決意をついた着いた顔をしてフンドシに行ったのだ。

「行きましょうか。英雄様。」

騎士たちとクロワ、馬たちが即座に車に乗って決意を決めたキメ顔をして言ってきた。

———何だ。こいつら。

そしてフンドシが立ち上がり、車に乗り込んで腕を組んで。

「では行くぞ。」


こうして私たちは再び、魔王城に向かったのだ。




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