第15話 ついに決着! 村人たちと泥田坊仲直り。

戦いが終わった———。

村人たちと泥田坊たちは唖然として我に返り、ふと、フンドシのほうを見た。


「まさか、あなたがひでり神、倒したのか。」

唐突に村人、泥田坊が集まってきて

「あ、ありがとうごさいます。私たちはあの四天王に騙されて危うく、田んぼを手放されるところでした。」

「私らのだす。ひでり神にそそのかされて、利用されていたとは知らず。」

そして泥田坊は村人の前に来て。

「申し訳なかっただす。村の復興をしようとしたばかりにこんなことになって。」

「わしらもじゃよ。今まで寝不足気味で、つい、カッとなってしまって、田植え勝負は引き分けってことで。」


村人は右手を出して、泥田坊と握手した。


良かった。仲直り出来て。

「けど、泥が枯れてしまって今年の稲が取れなくなってしまっだすな。」

「ナーニ、隣町からもらっている。大根やニンジンなどの野菜類もらってあるし。それに来年から君たちと一緒に一から作ればいいじゃないか。だってあるし。」

ギンジが後ろを向き、田植え機と稲刈り機を見たのだ。


「だが隣町に渡す米どうするんだす。交換条件で米の五俵と二十個ずつの野菜を毎年二回預けなきゃならないじゃないか。」

「あ! そうじゃった。‥‥ええい、あとで隣町の村にでも話して米半分ずつにでもしよう。」

ギンジが慌てふためいて、落ち着いてまた田んぼを眺めたのだ。

この村も大変だなーと私は悟ったのだ。


「だったらヘリ《あの機械》に乗って王都に行けばいいんじゃない。国王に言えば食糧調達でぎるんじゃない。」

クロワがヘリを指さし、ギンジに言った。

確かにここから王都までは歩いて五日までかかるがあのヘリという乗り物に乗れば二時間くらいで着くと思う。あの速さならいける。

「それもいいが、こんな村に食糧調達してくれるのかな。」

「心配いらないよ。魔王の四天王に穀物やられたとなると黙っていられないと思うから。」


そうなんだ。私は知らなかった。今までは魔物を討伐することしか考えていなかったがこうして聞くとクロワって意外としっかりしているんだな。

「それじゃ、お願いします。一応、隣村の村長に明日にあって話だけはするから。」

「分かったわ。‥‥それじゃお礼として。」

手のひらを出して

「報酬として十二ギンド(日本円で1200円)ね。」

「金払うのか。」

「そうじゃないか。米は今とれないと分かったらお金でもらうしかないでしょ。ただで教えるのは嫌いだし。」

クロワって意外とドライなんだな。


「いや、米がとれないだけで、ないとは言ってない。あっちの奥のほうまで行くと高床式の倉庫がある。そっから二俵くらいだったらいいだろう。」

「交渉成立ね。」

ギンジとクロワが握手を交わした。

王都に行くのは明日になって、夜はうたげでみんな飲みまくり、馬や牛たちは踊りながら楽しんで祝っていたのだ。




翌朝———。


私たちは朝早く、王都の準備を始めた。

「うぅ。頭いて、飲みすぎた。」

頭を抱えてクロワが起き上がってきた。

「クロワ遅いよ。」

「うぇ~い。」

私たちはヘリに荷物を馬に渡して持っていたのだ。

「そういえばなんで馬が二足歩行で歩いてんだよ。」

そう言うとギンジが割って入ってきて言ってきた。

「あー。もともとあいつらはこの村の近辺あたりと王都では当たり前でそこ以外だと怖くて元の四足で歩くと言っていたのじゃよ。」


言っていた———— 村長、馬と話せるのかよ。


「そら、あんたらの馬車の馬だってこうやってお茶を飲んでいるんじゃないか。」

ギンジが指をさして私たちは振り向いた。年寄りたちがのんびりお茶飲んでる横に馬車の馬も同じく飲んでいたのだ。

「二足になるには互いを信じないとダメらしいじゃがな。」

「私たちは信じて無かったなのね。」

「んじゃ、ここに置いて行こう。平和そうだし。」

クロワがそう言うと急に馬車の馬が走ってきて一緒に行きたいと思う手ぶりをしていた。

「分かった。分かったから手を離して!」

馬が喜んでいた。

最近、旅を始めたばっかだったから、まだ私の知らないことが多いものかと私は悟った。


「それじゃそろそろ行くか。」

私は歩き始めて。ある村人の家の前に来て。

「フンドシそろそろ行くよ。」

フンドシは長い鉢を縦横一列に並びたて、となりに牛や馬たちが田植えを植えてそれを教えていたのだ。

村人たちに言うには、久しぶりの田植え魂が読みがえてきて少しずつ植えるのを慣れて観光客たちに体験させるので頑張っているらしい。

こうして見ているとカオスだな———。


「よし! 皆ここまで、あとは拙者がいなくても大丈夫だろう。」

フンドシは馬や牛に挨拶をして水で洗って、フンドシはあるもの持ってきた。

「必要がないとは思うが寒いと感じたらこの白いフンドシを着るがいい。」

馬と牛たちはいち早く白いフンドシを着こなして喜び出した。早速なんだ。


こうしてフンドシ、私、クロワ。、馬‥‥。

「そういえば名前つけてなかったな。」

「馬肉‥‥。ヴァニラでいいんじゃない。」

「クロワ、物騒だぞ。」

怯えていたが、名前を付けた瞬間に喜んでいた。まぁ、いいか。

「それでは、村の英雄、御一行様、身体にお気をつけて。」

「皆さんもお元気で。」

ヘリに乗り動き始めて私たちは村人たちに手を振って別れをつけたのだ。

「あー。なんか疲れが取れない。腰いてー。」

「一日中、田植えしたからね。私もヘトヘト。」

「まぁ、そのおかげで、米もらったからいいか。」

クロワがリュックに入っている米を叩いて言った。二俵じゃ持ち込めないと分かったんだな。



私たちは村に食糧調達のため、魔王討伐のため、王都に向かったのだ。

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