第12話 泥の正体判明! そして新たな勝負が始まる。
泥たちとの戦闘はやめ、私たちはその泥の会話を聞いていた。
「私どもは泥田坊と申します。私たちは昔まで村人たちとは仲良くしていたんだす。」
突然の発言に私たちは驚愕した。そして泥たちは話し続けた。
「ある時、魔王と名乗るものが現れて村人たちにあるものを渡しだのだ。」
「あるもの。」
「機械と言ったらどうか————それのおかげで村人たちはろくに働きもしなくなって、おまけに私たちのことも慕われなくなって、化け物扱いにもされてしまい私たちもそれによって復讐しようとたくらんでいたところだず。」
「復讐!いくらそんなに厄介払いされたとはいえ、お互い話し合ったらどうよ。」
「イヤ、話し合ってもあっちから攻撃してくるし、復讐こそ自分に解決しやすい方法ほかにないよ。」
「クロワ…。」
昔、いた村でのこと根に持っているんだな。私は思った。
クロワは私のほうに近づいて、耳打ちして小声で言ってきた。
「ねぇこいつら、別に悪い奴らではないよ。今まで村人にさげすまれていただけのことだし、いっそ村人を懲らしめる手伝いした方が良くない。」
クロワ、何言っているんだよ。と私は泥たちを見て考えた。
クロワは子の泥の化け物に同情しているだろうし、私も気持ちがわかる。だが相手に魔王の四天王‥‥。ん。ちょっと待って。
「ねぇ、あなたたちって魔王の四天王じゃないの。」
「それは違いだす。我々はそんな格上の魔物たちを従っているお方の真似なんてできません。」
確かに、言っちゃ悪いが、先の戦いでは泥たちは四天王に匹敵するぐらいの力ではなかった。
だったらシュウの言っていたこと間違っていないか。と私はふと思ったのだ。
引きつづいて泥たちは話しだした。
「手伝ってもらうのはいいが。人は殺してはいけませぬ。私たちの目的はあくまであの機械を壊して——また昔みたいに村人たちと楽しく田植えがしたい。」
「だまれー!」
突如、誰かが叫んで出てきた。老人——たぶん村長だ。
「何が、楽しく田植えをやりたいんだ。わしらだって年を取って腰や肩が上がらなくなって体がもたないだよ。そうしたときにあの機械が来てくれたおかげでどれだけ楽になったのか。」
「お前らだって、あの機械に頼りっぱなしで私ら田んぼに敬意がないではないか。」
「田んぼと一緒にするな!だいだいお前らみたいな化け物を慕っているより、あの機械を祭るのが先決なんだ。さっさとどっか行け。」
「なんだと、泥がなくなったら、田植えができなく、米が作れなくってもいいのか。」
「ぐっ。」
村長がぐうの音を出さなくなった。図星なんだな。
「ど、泥の一部だけ置いて行って、む、村から、えっ、でていけ。」
村長がぎごちなく言った。
「それだったら、村の田んぼ全部もらえれば出て行ってやるよ。そうすれば我らの生き残これるし、ほかの住人達に田植えの良さを教えてもらっていけばいいだけだ。」
「じゃ、わしらはどうすればいい。田んぼなんて動けるわけではない。」
確かに動けない。私はそう思った。泥田坊はニヤリと言ってきた。
「ならお前らが出て行くことだな! 今まで慕っていない罰だよ。」
「この、泥の分際で!」
村長が泥に向かって睨みつけていた。なんだこの展開は。
さっきから田んぼ全部くれとか泥が出てけとか、結局何を言っているのか分からん。
そして勢いよく叫んだのだ。
「くぬぬ…。だったらわしらと田植え勝負をしろ! そうしてお前らが勝ったら田んぼごと村をくれてやる。」
「ナニ!」
泥田坊は目を血走った。村長はさらに言った。
「その代わりわしらが勝ったら、村から出てってもらうからな。」
村長は少し笑っていた。
私はぼけーっと突っ立っていた。何言っているんだ。
———突然クロワが割って村長と泥たちの輪に入っていった。
「それって私たちも介入していいか。」
「えっ、いいけど。」
突然のこと言われたので村長がキョトンとしながら言った。
私はクロワに耳打ちして言った。
「ちょっとなに、自分で決めているのよ。」
「だって、誰かが勝てば村の権利がもらえるってことでしょ。」
「えっ、まああ。そういうことになるんじゃない?」
「だったら私たちが加入して勝てば、村人や泥たちのケンカを勝手に止められるし、なにせ、米が食べ放題になるんだから一石二鳥ってわけだよ。」
クロワがよだれを垂らしながら言ったのだ。米が目的なのがバレバレだ。
けど確かに、私たちが勝てば権利としてこの馬鹿げたケンカも止められる。
「よし、やろう!」
私も気合いを入れたのだ。
こうして私たちもその田植え勝負に参加し、権利を取って泥田坊と村長を仲直りするように仕向ける戦いが始まったのだ。
———てか、フンドシはしゃべってなかったがまぁ、いいか。
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