第11話 激突 ショコラとフンドシとの最大の大技!
真夜中————
私たちは小屋に隠れて張り込んでいた。
クロワがあくびをして言ってきた。
「うわぁ~。なんで私まで張り込まなきゃならないの。」
「別にいいでしょ。いつ泥の化け物が出てくるか分からないし、トイレに行ったときに現れる可能性だってあるでしょ。」
クロワは嫌な顔をして黙って張り込んだのだ。
目撃した情報と声がした情報を察すると夜にしか活動しない奴と分かっているが、仮にも魔王の四天王。ミノタウロスやメデューサくらいの力を持った魔物。だから私たちは正体を見極めるために見張っていたのだ。それに———
「フンドシがおとりにしているから大丈夫だよ。」
私は自信満々に言ったのだ。クロワは引きつった顔をして。
「あんた最近人任せ過ぎないのか。」
「っ、いいじゃんか! 別に。」
私も申し訳ないと思っているがそれでもフンドシ、四天王と互角に戦えるのはフンドシしか今はいない。
フンドシは仁王立ちのまま、田んぼの前で立ち尽くしている。
服を着て村人に変装してほしいと思って言ってみたが。
「拙者は嘘は嫌いだ。」
断られてしまった。こういう時に限って頑固な奴だ。
————その時。
田んぼからあふれてきてその中から泥の化け物が出てきたのだ。人型の泥で目は一つ、口があって不気味に感じたのだ。
私は杖を持ち、クロワに向かって言った。
「クロワ、起きて! 泥の化け物が出てきたよ。」
「えっ。」
クロワが少し寝ぼけていてよだれを垂らしていた。
すぐさまフンドシは拳を構えた。泥はどんどん大きくなり、しまいには50メートルのでかさの怪物になって、フンドシに突っ込んできたのだ。
その直後に、フンドシは拳を放ったのだ。…その威力で大きな泥が破裂したように散らばっていった。
「よし。」
無意識にガッツポーズしまったが、なにか違和感を感じた。
四天王なのにこんなあっさり倒されるのはおかしい。そう思った矢先。
散らばった泥が人型に戻り、無数に襲い掛かってきた。
「田を返せ。」
泥の化け物が叫び出した。これは村人たちが夜中に叫んでいた声だ。
その言葉にはどういう意味があるんだろう。
「ううん。いまはそれどころじゃない。行くよ。クロワ!」
「ちょ、ちょっと待って、ワタシ、戦闘向きじゃないよ。」
私は予想外なことが起きたので加勢に出向いた。泥の化け物たちは私に気づき襲い掛かってきた。
杖を構え、唱えた。
「ファイアーボール!」
泥の化け物に直撃し、叫んでいたが。動きが一時止まっただけで致命傷にはならなかった。
「日の光の熱じゃないと倒せないのか。だけと時間稼ぎにはなるわ。」
私はクロワに向き。
「クロワ。ここにいて私はフンドシの所にいくから。」
「あ…。分かったわ。」
クロワはそこにあった木の棒を持って身を震えて隠れた。その様子を見て私は走った。
「ファイアーボール!」
また炎魔法を放って時間を稼いだ。二、三度放ったところでフンドシに近づいた。
「フンドシ!」
私は叫んだ。フンドシは大量の泥の化け物どもを倒しては蘇りの繰り返しをしていた。
私は後ろを向きフンドシの背中につけて話した。
「数が多すぎるわ。ここは奴らの一網打尽にする。フンドシ手伝って。」
「ふむ、よかろう。」
この時だけは、私たちは分かりあえた。
フンドシは拳を構え、そして放った。その風圧で、私はファイアーボールを放った。
風圧の力よりその炎が広がって泥たちに浴びせて動けなくなった。
「今度は大技、仕掛けるよ。行くわよ。フンドシ!」
フンドシは分かったかのように私を持ち上げ、そして投げた。
はるか上空まで投げ飛ばされてフンドシや泥の化け物たちが小さく見えていた。
その直後、フンドシは大きく手を広げて回し始めた。その威力で竜巻ができ、私は負の中心のフンドシにめがけて最大威力の炎魔法を放った。
放った炎が竜巻に広がって多くの泥の化け物が火柱になって動きが止まったのだ。
フンドシとの初めての連携技。その名を「ファイヤートルネード」としよう。
いつもへんな名前だと言われて馬鹿にされているが頭に浮かんできたから別にいいだろう。
泥たちは再生しようと固め始めたが、乾いてしまったのかうまく原型がとどまっていない。
これで朝まで待ってれば消滅するだろうと思ったとき。
一匹の泥が原型を無理やり作ってきて言ってきた。
「ちょっと待ってください。降参しますから、私の話を聞いてください。」
突如と予想外なことが起こって私たちは戦闘をやめにした。
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