第10話 タウエ村の化け物!

シュウと別れた私たちは途方に旅を続けていた。


広い大草原の中に道があり馬車で進んでいた。


私は一息ついているとクロワが指をさしてきた。


「おい!見てよ。村が見えてきたよ。」

「ホントだ。あそこまでだと三十分くらいかかるとかな。」


私はコートから懐中時計を出してそれを見ていたクロワが言ってきた。


「その懐中時計ってどこで買ったの。」


「えっ、これは先祖代々から続いてるお守りみたいなものよ。私は行ったことないけど山のふもとで暮らしているおじさんしか修理ができないから大切にしているのよ。」


「デザインとかも凝っていていい品物だと分かるわ。」


クロワは値打ちものは鋭く鼻が利く。なのでお金の管理はクロワに任している。


フンドシは金に頓着ないし。私は浪費が激しい方なので助かっている。


この杖だって、安物が嫌なのでやれ、とんがり帽子や魔女の衣装を売ってして買ったから今ではこんな安物の服で行動しているんだ。


まぁ、私は気にしないからいいけど。


———ようやく村に着いた。


「ここはタウエ村、米の生産が村一番で取れている有名なところ。」

「なら米とか置いてあるのか。」

「村で販売もしているとか聞いたことあるけど。」


クロワが大きく息を吐き。


「やっと…やっと、まともなものが食べられる。」

「いつもまともなの作っているんでしょ。」

「いつも!旅で拾ってきた木の実や薬草をスープにして毎日食べてる。まともじゃないよ。」

「私は慣れてるからいいかな。と思って、ほら、料理作るの面倒くさいし。」

「呆れた。」


クロワは私の目を見て引いていた。

その様子に私は少し異常だと察して。


「さーて、村人でも探すかな。」


言葉を濁らした。クロワは何か憎んでいるかのような顔をして同時にフン!と横に顔を振って風景を見始めた。


何かがおかしい。そう思った。


田んぼあたりに牛や馬などは一頭ずつ置いてある。そういえば確か、田植えの時期、忙しくなるはずだが。


村人が人っ子一人もいない。


「フンドシ、止めて!」


私は馬車を止めるのを命じて、降りて走っていった。


「ショコラ、どうしたのよ。」

「ちょっと聞いてみる。」


私は目に入った、民家を叩いた。

家は珍しく木材でできている。今までの村ではレンガや石造りが多くここまで木造な建物は見たことなかった。


呼んでみると中から物音がした。やはり誰かいるのは分かっていた。

引き戸から老婆が出てきた。


「何か。御用ですか。」


「あの、私たちは旅をしていまして、このタウエ村に来たんですけど、どうして村人たちは一人も外に出ていないのですか。」


私は唐突に本音を言った。それを聞いた老婆は少し顔を上げて言ってきた。


「皆、寝とるんだよ。」


「えっ。」


私がキョトンとしていると、もう一度老婆が。


「寝とるんだよ。奴らのせいでよ。」


「奴ら。」


「毎晩、わしらが寝静まっていた時に、田んぼのほうからか、声がするんだよ。」


「声。」


「田を返せと。」


私はかたずを飲んだ。老婆の話はまだ続く。


「その声が朝までうめいているから皆、全員怖くて寝れないんだよ。」


なるほど、そういうことか。


「それで、となりに住んでいるケン助爺さんが夜中、酒飲んで酔っ払て外に出た時に田んぼの中から泥が浮かび上がってきて目を光り出したんだよ。」


泥、目の光まさか! 私はあることを思い出した。


「それでケン助爺さんはびっくりして走って家に逃げたんだよ。」


「そうですか。分かりました。フンドシ!」


私はフンドシを呼び出し、私は小声で言った。


「シュウが言っていたこと覚えている。」


フンドシはあぁ。と答えた。


「魔王の四天王、残る二人は泥の化け物と拙者に似た奴と言っていた。」


「その泥の化け物がこの村に潜伏しているかもしれないってこと。」


私たちは老婆に礼を言って、クロワとフンドシに。


「なので、何日はここにいましょう。調査しないと分からないわ。」


「良かろう。村の人たちを苦しめる奴は一網打尽にしなくては。」


私とフンドシは目的を決め、泊まるところを探した。


「はぁ、また戦いか。早く米が食いたい。」


クロワは話を聞いて落ち込み、弱音を吐いていた。


「しっかりしなよ。クロワ、あの泥の化け物倒したら、もしかして無償で米食べ放題かもしれないよ。」


「ヨッシャー!、あの泥、倒してやかっらな!」


急に元気を取り戻したのだ。まだ村人から依頼されていないが、まぁいいか。


そして私たちは泥の化け物が出る夜まで待つことにしたのだ。








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