第9話 そして旅はつづく。

決着がついた。


お互い、瀕死の状態で倒れて動かない。


「フンドシ!」

「アニキー!」


私とクロワはフンドシのところへ、盗賊たちはシュウの所に駆け寄った。


私は回復魔法を唱え、フンドシにかけた。


右足のケガや腹部の傷が深く治すのに時間がかかる。


シュウも同じだ。


「動かないでくだせ、傷が広がってしまいます。」

「お、おい、魔法使い。と、盗賊の俺らが言うのもな、なんだが、お願いだ。アニキを治してくれ。」

「俺たちは魔法とか持っていねーから、治せねーだ。」

「お願いだ!。金目のものはいらねーからよ。」


盗賊たちは私のほうを向いて言ってきた。都合が良すぎる。そう思い言い返そうとした時に先にクロワが大声で叫んだ。


「冗談じゃないわよ。散々痛めつけて、殺して、今度は助けてだー。ふざけんじゃねーよ。」

殴りかかろうとしたクロワをフンドシが止めたのだ。まだ傷が治っていないのに。


「た‥助けてやれ、殺しあったもの同士だ。我だけ治すのは卑怯と申す。」

「卑怯ではないわ。盗賊こいつらこそ卑怯の塊。見たでしょ。人の弱みをつけ込みたてるそんな奴らだよ。」


クロワが激しく語って、盗賊たちは黙った。


「エルフの姉ちゃの言う通りだ。俺たちは人を殺し、金品を奪っているクズ野郎だ。だから情けはいらねー。さっさと裸の男を治したら姿を消しな。」


言われなくても私たちはフンドシを治療を終わったら行く予定だ。

それにしてもシュウも深手を負っているのに生きている。奇跡なくらいだ。


盗賊たちは互いの持っていた。手拭きの布をかき集め出血を止めに入った。

あれでは傷が癒されない。


足を治せば完全回復しそうなフンドシは私の手を持ち。


「頼む、奴を治してくれ。攻撃してきたら拙者が返り討ちに示す。」


覚悟を決めた目だった。


身震いをし、ため息つきながら、私は盗賊の——シュウのもとに行った。


「どいて、あなたたちのボスを治してあげるから。」


「本当か。」


盗賊たちは涙ながらに感銘を受けたのだ。


「勘違いしないでくれる、フンドシが——裸の男が頼まれてやることだから変なこと起こしたら容赦しないから。」


私はギロっと盗賊のほうをにらんだ。最初にあった時は威勢があった奴らはびくりとなって後ろに引いた。余裕がなくなったのだろうか。


「借りができちまったものだな。あまり気に入らねーが。あの男は特別に飲んでやるか。」


「フンドシは借りとかそういうのどうでもいいと思うわ、だがお互い仲間を守るために傷をつけて戦った仲だと認めたってことだよ。」


「そうか。悪いな、」


そして私はシュウの治療を始めた。


顔の所があざができていて腫れている。確かにフンドシが全力で殴り掛かったのが目に見える。


私は回復魔法で治しているとある疑問を言ってみた。


「こんなに強いのに何故、盗賊とかやっているの?。」


「唐突に何だい。」


「魔族のほうからスカウトされる強さがあるなら王都のほうでも活躍できると思うだが。」


「それは無理なこった。俺たちは金もなく、居場所のねぇ、奴らの集まりだ。俺が良くても名赤間は見捨てねーこった。」


なるほど、仲間思いなんだな。私はフンドシの言っていることがなんとなくわかってきた。


腹を治し、今度は右腕のほうを持って治してたら、ふと思い出して。

魔法をかけながらポケットから金が入った袋を出した。


「たぶん少ないと思うけど、これで誰も知らない遠くの村で暮らすといいよ。


「ありがとな。だが村に行くにしてもちっと足りねえから受け取れねーよ。」


私はハァ。と焦り出して謝った。


「いいってことだよ。もう盗賊辞めようかなと思っていたけどな。」

「そ、そりゃないぜアニキ。」

「冗談だよ。」


シュウは笑って部下たちをからかったのだ。ここまで元気だと死にわしないわね。


————————————————————————————————————


ようやくフンドシとシュウの治療が終わった。


二人は起き上がり、互いを見つめて語った。


「もうおめーたちは、俺のの命の恩人だ。一つ教えてやろう。」

「なんだ。」

「おめーら、四天王二人も倒したんだろ。」

「一人は再起不能で洞窟に引きこもっているわ。」

クロワが言った。

「だがあとの二人は厄介だぜ。」

「一人は泥を操るもの。もう一人はお前に似ている奴だ。」

「似てる?。こんな格好しているのがまだいるの。」

「こんな格好な。だが強さは俺以上かもしれねーな。」

「魔王のほうは。」

私はすかさず聞いてみた。

「わりーな、魔王に関しては聞けねかったからな。スカウトしてきた魔族は魔王とかは会ったことも見たこともない。って言っていたから分からね。」

「そうか、けどいい情報もらったわ」

「じゃ、これで貸し借りなしだな。」

「えっ。」

「おめーらが命に狙われても関わりたくねーからよ。」

「あ、そう。別にいいよ。」

私はシュウをにらんでいった。

「肝っ玉強えー女だことだ。嫌いじゃないぜ。」

私は顔真っ赤になった後、今度はフンドシのほうを向いて。

「おめーさんもいいな。殺そうとした奴を助けることすんなよ。お人好しすぎるからな。」

「良かろう。奴隷商人たちを一刀両断にし、奴隷たちをもとの村へ帰す行為を感じ取ったのだ。魔族のスカウトを断ったのはそのためだろう。」

「何でもお見通しってわけか。」

「えっ、フンドシ、そうだったの。」

クロワが言ってきた。

「フンドシは人の見る目はあるってことだな。」

私はフンドシのいい所を見つけなんだかうれしくなった。


「そういえば、名前聞いていなかったな。」


「みのこなし太郎———皆からはフンドシと呼ばれている。」


「フンドシか。いい名前だな。」


フンドシは後ろを向き、私とクロワにのほうに来た。


「では、我たちは行く。」


「おぉ、二度と会うことはねーと思うけどよ。」


「私もそう思ってる。」


そして皆が笑った。フンドシは相変わらずだが。


こうして私たちはシュウと盗賊たちに別れて、村に向かったのだ。

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