第6話 五年後

 五年の月日が経ち、ジョン達が住んでいた村があった場所には灰が降り積もる灰色の大地へと変貌を遂げていた。


 丁度1月ほど前、魔王軍が突如として世界各地に出没し始める。最初は人が消えるという噂程度の規模だったのだが、徐々に人から村へ、村から町へといったように大きくなっていったのだ。


 そして、どこから知ったのかジョン達の住んでいた村にまで魔ノ手が襲ったのだ。

とてつもなく巨大な力に、ジョンは成すすべなく敗れてしまった。


 はずだった、グルグルと竜巻の様な風が吹き一つの場所に灰が集まり眩いほどの光を放ち始めた。

 

 光の中から人が生まれ出でる。そう、5年前の姿のままのジョンが。


「え、ここは…」

 周囲を見渡すのだが、一面灰色でなにもない


(起きたかジョンよ)

 ヒタカは現世に姿を現す…ピヨッ


「なぁ、ヒタカここは…」


(……さぁ、わしにはわからんの)

 少しだけ大きくなったヒタカは言う。


 ジョンは目線を少し下げる、そこには灰に埋もれている何かがあった。

灰を払い物を持ち上げる、それはジョンの父親が大切にしていたペンダントだった。


「もしかして、ここは…」

 

(……) 


「うわぁぁぁぁぁ」

 ジョンは無き村を、父を、親友を、様々な思いを抱き、大声で何度も何度も哭いた。哭いて哭いて哭いてまた日が昇る頃。


(…もう大丈夫か?)

 ジョンに寄り添うようにヒタカは聞く。


「…あぁ、もう、大丈夫」

 ジョンは泣き晴らした顔を上げ空を見上げる、その背中に想いを乗せ立ち上がる。

とても綺麗な青色の空だ。


(では行くか)


「嗚呼」

 二人は歩き出す、いずれ魔王へと辿り着く旅路を。





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勇者の旅路 流天 @Rutennohito

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