第三話 夢

「ただいまぁ」

「おかえり」

 家に入るとすごくいい匂いが漂っている。おとうさんがキッチンで料理を作っていた。

「きょうのごはんは~?」

 そういっておとうさんに近づいていく。

「ん?あぁ、今日は野菜たっぷりのシチューだ」

 おとうさんは鍋をかき混ぜながら答えている。

「うわぁ、おいしそう」

 そういってジョンはシチューがついである器を持ちテーブルへと持っていく。二往復してイスに座る。

 父も座りご飯を食べ始める。

「「いただきます」」

 スプーンを使ってゆっくりと口に運ぶ。

「おいしー」

「ははっ、それは良かった。」

 二人ともニコニコしながら話し始める。

「そういえば、今日はどこに行ってきたんだい?」

「えっとねぇ、きょうはきょうかいにいって。おてつだいをしてきたー」

「そうなんだ、よく頑張ったね!」

「ふふん」

 ジョンは自身満々に胸を張る。

「あ、忘れてた」

「ん?」

 ジョンはテーブルに置いてあるかごの中を覗き込む。しかし朝拾ったはずのぴかぴかの卵がそこにはなかった。

「あれ」

「あぁ、鶏小屋の手伝いありがとう。しっかり出来てたよ」

「やったぁ」

 ジョンは卵が無いことを不思議に思ったが、父からお礼を言われたことによってあんまり深く考えなかった。

 

 夜もすっかりけてきて父との話も落ち着き始めた頃。

「さぁ、もうそろそろ寝ようか」

「うん」

 ジョンは父と一緒に寝室へと向かう。

「おやすみ」

「いい夢を」

 それぞれベットに入り、眠りにつく…


「う、ん?」

 ジョンは何もない不思議な空間にいた。ただ1つの点を除いて。そこには光の玉が宙に浮いていた。

 やあ

「きみは?」

 さぁ、何に見える?

「ぴかぴかのたま」

 ふむ、君にはそう見えているのか

「ここはどこ?」

 ここかい?ここはきみとぼくの共感していられる場所さ

「えぇ?」

 難しかったかい?そうだなぁ簡単にいえばきみとぼくの広場さ

「ふーん、それでぼくはなぜここに?」

 きみは勇者の素質がある

「やったぁ」

 …全然驚かないんだね。

「めちゃくちゃうれしいよ?」

ピョーン ピョーンと、飛び跳ねる。


 それはよかった。

「それでゆうしゃってどうやってなるの?」

 かんたんさ今ここで誓いを立てればいい勇者のね

「わかった」

 じゃあ、始めるよ準備は良いかい

「もちろん」

 勇者よその身に誓いを立てる

 汝 勇気ある者よ 其の道に 

 様々な事が起きるであろうそれでも自らの

 意志で 知恵で 力で 成し遂げること

 この神に誓いますか?

「えっ?神様?」

  誓うか?

「えっ、あっ、はい。」

 よし成立じゃ、精進するといい。

「はい」


「かみさまだったんですね」

 え、そうなの儂?

「いってたじゃないですか」

 た、たしかに、そうかも?

「なんであやふやなんですかぁ」

 まぁ、よいではないか。

「これでゆうしゃになったんだなぁ」

 あぁ、言い忘れておったが勇者よ

 君の道は、とても困難になります。

「え、ちょ、聞いてないよぉ」

 まぁまぁ、儂も付いてくから

 ダイジョブじゃ…多分。

「たぶんって」

 まぁそんなところじゃな

 さぁ、じきに夜が明ける

 夢の時間はおしまいじゃ

 またの

「うん、またね!」

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