日記
囃
熱気
「ああ、喉が渇いた。」
熱と、それを纏う液体に身を包まれ私は小一時間程度だろうか、気を失っていたらしい。
体を纏う全てが重くて立ち上がることが出来ない。否、ここが未だ心地よく感じ、まだ出たくないとすら感じる。
体全体で液体を浴びているのは余所にこちらの意志とは関係無く乾く唇の上に一瞬、舌を這わせた。
脳に継続的な痺れと、不定間隔で刺すような痛みを感じながらここを出るか葛藤した末にやはりこのままではまずいという、少しつまらない結論に基づいて立ち上がることを決心した。
脚を曲げてしゃがむような動作に入る途中、肩が段々外気に触れてそして、胸、尻と続きそしてとうとうしゃがみの体勢に入っていた。
覚悟と葛藤の重さとは裏腹に案外呆気なかったな、とどこか期待はずれに感じながら脚を伸ばした。
刹那だった。
目の前が白く光り、一瞬現実に戻ったかと思えば極彩色と白があまりにも目まぐるしい速さで交差していった。
まるで脳が焼き切れるような感覚で、不愉快であった。全身に力が入らない。前に体が倒れる。足が動かない。頭が、重い。重い。重い。
心臓がうるさい、煩い、五月蝿い。
火照った体が私に反省を促すように感じた。
次に見たのは、暗闇だった。
鈍い音に気づいた母親が風呂場に駆けつけていたらしい。
日記 囃 @Ryu-gu
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