第96話 異文化人
今回の事を誰かに相談したい。
あの気味悪い自称日本人との遭遇を1人でこのまま抱え込むのは俺には無理だった。
グルグルと悪い思考を巡らすだけで、解決の糸口も掴めずにきっとストレスから酒を飲んでしまうだろう。
え?いつも飲んでるじゃん?
うるさいな………酒飲みは酒を飲む理由を『花が咲いたから』、『雪が降ったから』と語るのが定期なんだよ。
それに、ドメンタでの脳内イキり野郎だった俺はもういない。そいつは
そうだ。俺は酒カスアラサーじゃない。
ティーンネイジャーだ(キリッ)。
メガネも頼れって言ってたし。
何より、異世界生活ピッカピカの1年生の俺よりは、知識に長けているであろうセグさんとかメガネに、奴等の事や他にもいるであろう転生者の話を聞くのは正しい選択だと思う。
そう考えて、探索者組合へとやって来た。
来たは良いけど、どうやって聞こう……。
因みにどこまで話す?自分の事を秘密にしたままでは説明が難しい。え〜どうしよう……。
組合の片隅で真剣に悩んでいると、背後から急に声を掛けられた。
「……………おい、どうしたんだ?、カイ」
「ふっぎゃぁぁぁーーー!!お、お、お、驚かせないで下さいよ!セグさん!!」
「ふきょぁぁぁーーーぴよぉぉ!」
ダンジョンの悪夢再び!
ピー助はこんなの真似すんなよ!
「おい、本当にどうしたんだ?大丈夫か?」
「だ、だいじょ……ばないです」
キョドった俺を見て、セグさんは何かを察してくれた様で、受付に断ってから別室へと案内してくれた。
「カイの事だからまたトラブルだろ?……今度は何だ?また『特異種』にでも遭遇したか?」
「いえ……あの…………ちょっと聞きたいって言うか、教えて欲しい事があって……」
さっきは
「何だ?」
「………えと………………………異世界人っているんですか?組合にある交換機を造った人みたいな?」
ここは変化球では伝わらない可能性がある。腹を決めてストレートに疑問を投げてみた。
「ああ、いるぞ。まあ、呼び名は『異文化人』だけどな。俺は直接会った事は無いが、話で聞いた限りは、発想や行動が奇抜な人が多い印象だ。だが、俺達の生活に役立つ物を造ったり、より便利を追求したりと活躍している人もいるぞ?……それで?会ったのか??」
キタコレ!すんなり肯定されたよ!
これなら、変なやつが居たとしても、役に立ってるから迫害とかは無いパターンだよね?ね?!
「………セグさん、ちょっと街の外まで俺に付き合う時間をくれませんか?」
「お前、まさか異文化人を外に待たせてるのか?!」
「……そんな所です(既に目の前にいますが)」
俺の話を聞くなり“組合の外で待ってろ!”と言い放ち、セグさんは駆け出して行った。
あっれ〜?これ大丈夫かな?大丈夫じゃなかったらどうしよう……。
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