第93話 3人への報告

 皆のいる屋台に到着したが、やっぱりちょっと早かった様なのでソルスの店で飲みながら待とうと思う。


 ソルスの屋台で『ダンジョン鱒の燻製』、『鱒皮チップ』、『チイカウのジャーキー』を買い、持ち込み可能だと言われたので、酒甕(俺とお前と大五郎)から注いだ酒をセグさんに渡した。



「………何だこれは?」

「え?お酒ですが?セグさんお疲れ様でーす!一杯どうぞ〜!」

「………………カイ、お前成人してそんなに経って無いのに、飲み慣れ過ぎてないか?!」

「細かい事はいいじゃないですか〜!飲んだらすぐに好きになったんですよ!ソルスの燻製も美味いから、この酒と一緒に遠慮無く飲んで下さい!」



 ジャーキー美味っ!これ、延々と囓ってられるヤツだ!固さも塩気も程よいな〜。やっぱりプロの仕事は素晴らしい!


 そしてセグさんはと言えば、恐る恐る注がれた酒を口にして、驚き、そしてまた確認する様に口にして、アッという間に飲み干してしまった。


 いいね!セグさんはイケる口だった!



「美味い酒だ……しかも酒精が強い。」

「でしょ?エールに飽きたらコレっすよ!さ、もう一杯どうぞ〜!」



 今日は外飲みだから念の為に安価な酒を出してるけど、セグさんなら俺の秘蔵の日本酒(亀齢)でも出すぞ。でもそれはまた今度!


 そうこうしていると、3人も親父さんへ屋台をバトンタッチする時間になり、飲んでいる俺達の所に集まって来た。



「セグさん!待たせてすみません!」

「おお〜大丈夫だ。お前達の聞いた話だがな、俺からも伝えたい事があったんでカイと一緒に待ってたんだ。」

「……え…セグさんから?」



 途端に不安顔のソルス。もう!心配するから話を溜めずに先に伝えて下さいよ!



は大丈夫だったから本当に心配無いよ。セグさんは……釘を差したいんじゃないかな?」

「まあ、そうだ。カイから聞きた話はもう心配するな。ただ、周りを混乱させる恐れがあるから他言無用で頼む。然るべき時になったら組合から正式に発表するからそれまで…な。」



 その話を聞いて、3人はホッと胸を撫で下ろし安心した。




「良かったぁ……。安心したらお腹減って来たよ!カイ、みんなでご飯が食べられるお店に移動しない?」

「おお、いいぞ!俺、セディールの店以外まだ行った事無いからどんな店があるか知らないんだ。任せていいか?」

「ソルス、じゃあ『くいだおれ』に行こうよ!新作が出たって聞いたから試してみたかったんだ」



 セディールの一声で、行く店が決まった。

 それにしても『くいだおれ』とはまた……。『まんぷく亭』といい、この街の飲食店はどれだけ客を満たせば気が済むんだ?


 


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