第90話 誰かのスキル?
昨晩飲み過ぎて屍を晒している3人を他所に、一人でテキパキと片付けをしながら、その屍共に酔覚ましをソルスが配っていた。
「エ、エナ…エナドリください………。」
「え?何それ??まだ酔っ払ってるなら、早くこの酔覚まし薬飲みなよ!ほら、もう朝だよ!セディールとスコットも飲んで!!」
「「ありがとう……ソルス……。」」
ぐふっ!不味っ!!なんじゃこのクソ不味い酔覚ましは?!
それにしてもソルス……コイツ
「ほらほら!さっさと用意して仕事に行くよ!カイは千里の道を走るんでしょ?昨日はご馳走様でした!今度は僕達で奢るからね?さあ、一緒に行くよ?元気にいってらっしゃーい!!」
「ま、ちょっと待って……。今走ったら何か出ちゃいそう……。色々出ちゃいそう!!」
「ソルス……もちょっと優しく……。お願い…飲み過ぎたこと…リエラには内緒にして…。」
「ダメだ、スコット寝るな……。立て…立つんだ!」
愚図る俺等にソルスは一切の容赦がなく、俺から材料を受け取ると、アッサリしたスープとパン、ポーチドエッグを用意して食わせた。
屋台の営業準備は探索者の動く時間よりも少し早く、朝は親父さんと一緒に仕込み、日中は交代で店に立っているそうだ。
それに合わせる様に、俺の考えていたより大幅に早い時間に叩き起こされ、そのまま連れ立って街へと向かっている。
まだ外は薄暗いんですが?いったい何時なんだよ〜!
「ソルスさん?俺は街へ行かなくても大丈夫じゃないかな?報告も済ませてあるしさ、ね?」
「カイは組合に行って、ドメンタの報告後についてちゃんと確認して来て!……このチャスは、もし
「「…………。」」
ソルスのそのお願いに、愚図ってた頭が冷えた。昨夜、俺の話を聞いてから、ずっと心配していたのか?
街が魔物に襲われるかもしれないと言う危機意識。新参の俺は、その危機感が希薄だった。
でも、それによって失われてしまうかもしれない大切な物が、ソルスにはこの街にたくさんあるんだ。
根拠の無い俺の『大丈夫だよ』では誤魔化されるはずもない……。
「………分かった。ドメンタのダンジョンの確認結果をメガネに聞いてみるよ。皆にはまた、今日の夕方にでも時間を貰っていいか?」
「ありがとうカイ!また部屋のある場所に行けばいい?」
「いや、今日は街から離れないで過ごすから、夕方に屋台へ顔を出すよ。それまでは近くの原っぱでピー助の飛行訓練でもするさ。」
ソルスにそう約束をして、俺は探索者組合へと向かった。
魔物やその危険性に対する捉え方が、俺の場合はまだ現実味が薄かった。
慣れと共に、どこか日本で生活していた時の様な甘い気持ちが出ている。ゲームの様な感覚。
実際に生活をして、旅もして、怖い目にも合ってるのに、幸い痛い目にはまだ合っていない。
その“痛い目”が即、死への原因にも繋がるのに。
「ここでは、リセットもリトライも出来ないんだぞ〜?しっかりしろよな〜俺〜。」
「ぴぅ?」
街に着くちょっと前、ステータスに突然現れた育成途中のスキル。
名前の横に表示された『生き残れた転生者』の意味。
日々の生活に追われ、忘れていた。その時、俺は確かに恐怖を感じていたのに。
最近は、魔力残高しか見ていなかったステータスを開き改めて確認をし直した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
名前 周防 海(すおう かい)
性別 男
種族 人族(守銭奴の転生者)
レベル 301(保有ポイント270)
体力 600/600
魔力 686/686
精神 570/570
瞬発 570/570
器用 570/570
魔法
生活魔法 MAX
鑑定 MAX
索敵 63/100
魔弾 41/100
火弾 20/100
土弾 21/100
水弾 19/100
風弾 19/100
散弾 9/100
魔矢 32/100
火矢 16/100
土矢 21/100
水矢 16/100
風矢 15/100
麻痺 46/100
跳躍 1/100
製糸 1/100
吸血 1/100
集蜜 8/100
収拾 15/100
魔鞭 1/100
産卵 1/100
多産 2/100
鷹揚 1/100
腐滅 11/100
スキル 等価交換47/100、体力変換28/100
筋力増強62 /100、精神集中56/100
所持品
アイテムバック(所有者限定)
転生者の剣(所有者限定)
次元扉【認識阻害付き】(所有者限定)
所持金 約3985万ゼル(初期所有のゼルを除く)
黒金剛石交換分 4億1千54万ゼル
未交換黒金剛石(小) 3592個
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
嘘だろ……スキルが2つも増えてる?!
しかもまた、使った覚えの無い育成途中のスキルだ………。
意味が分からない!
これは誰のスキルなんだよ?!
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