第89話 酔っ払いの戯言
カラカラと涼やかな音色を奏で、琥珀色の芳醇な液体の中で丸い氷が漂っている。
この為だけに、氷を丸く成形した。
なんて贅沢。は〜〜〜至福!
うっとりと酒を楽しんでいると、少し間を置いてソルスが話を始めた。
「で?カイは何をボイドさんに報告して来たの?」
「ん〜〜〜〜?報告…?報告………あ!
「ジーってなんだ??」
「
もー山崎美味しい〜!良かった!ダンジョンで美味しい氷を採取しておいて!これは、また採りに行かなきゃだな!
「えっと……
「その“街食い”であってるよ。メガネもそう言ってた。」
「え?ソルス“街食い”ってなに??」
スコットがそう聞き返していた。セディールは酒を飲んでるのに顔色が青いぞ。もう飲み過ぎたのか??
「スコット……明日組合の手引き書を再読する事!そこにちゃんと書いてあるんだよ!
「え??そ、そんなのがドメンタにいるのか?!ヤバくねぇ?」
「ヤバいなんてもんじゃない。確かその魔物は街を1つとその近くの村も2つ食い尽くしたって書いてあった。馬車よりも速い移動速度で、食う物が無くなると移動を繰り返して、ヤツ等が通った跡の更地は全滅させるまで延々と伸びていたとあった。」
でも逃げても地獄だったんだな。あのダンジョンにまだいるかもしれないけど、メガネの感じからすると、今までは見つかって無かったんだろう。それに間引きして溢れない様にコントロールすれば……ダンジョンスタンピードなんてそうそう起こらないだろ?だよね??
「カ、カイ……その
「うん、俺が見つけたのは全滅させて来た。でもさ、こっちに戻ってから組合で“卵は無かったか?”って、メガネに聞かれてね。多分無かったと思うって答えたら、その後メガネがドメンタの組合に確認して貰う様に連絡を取ってたよ。だから心配すんな。もし残っていたとしても組合専属の探索者が倒してくれてるはずだよ。」
そう言うと3人はホッとした顔になり、再び食事を開始した。
ん〜〜〜何か米も食いたいな……。確かおにぎりを作ってあったはず………。
よし!鮭と天むすとチャーハンおにぎりもあった!ついでにチャーシューと煮卵も出しておこう。
「あれ?って事はもしかして
「ソルスは勘が良いな!実はそうなんだよ!あんな魔物だから期待してなかったのに、
「「「宝石?!」」」
むふふ……みんなも現金だね?
良かったら4人で“Gバスターズ”でもやる?
GはGでもゴーストじゃないけどね!
「そっか……それでカイは部屋を広く出来たんだね。」
「そうそう。今回ので一気に広くした!でも、最近ピー助が良く飛ぶから、リビングをもっと広くしたいんだ〜。」
「へぇ、ゼルを出せばこの家は広くなるのか?不思議な魔道具だな。」
「そうなんだけどね……それがもの凄く高額なんだよ……血涙が出る程に高いんだ!最初はもっと狭くてさ……。ちょっとづつ大きくして、今やっとこの広さになったんだ。」
今生の俺は立派な『大介畜』と成り果てた。
大介様をデカくする為に働き、汗を流す日々。それに以前『認識阻害』の効果が後から付帯出来たのを考えると、部屋の拡張だけでなく強化も可能なのでは?と愚考しております。
あ、ビールが無くなった……次は一番に搾ったビールにしようかな。
「そ、そんなに高いのか……。怖いから金額は言わないでくれよ?」
「え?俺聞いてみたいんだけど!」
「スコット……止めておきな。カイの『凄く高額』は、100万ゼルで騒いでる僕らとは次元が違うはずだから。」
「…そうだね。ゼロが2つは足りないね…。」
むぉ……薩摩芋よ………お前は婦女子の大好きスイーツだけに留まらず、スッとしたフルーティーな味わいある酒にもなれるとは、当にこの世の不思議。
おいもどんも〜、明日は〜千里くらい〜走っちゃおうかなっ?
「カイ、怖いよ!笑いながら言わないで!」
「え……?俺、今ゼロが2つ足りないとか聞こえたけど、百の次の次って……なんだっけ?」
「考えるなスコット!さあ、この酒を飲むんだ!美味いぞ!」
そうだそうだ〜!その酒も美味いぞー!
紫蘇の香りの焼酎とか考えた人天才かよ!
あ……しそ餅が食いたくなった!
何か甘い物………なんちゃってポン・◯・リング(リングにならなかった)で良いか。
ん〜〜〜?ピー助もポン・◯・リング食いたいぴぇ?1個で足りるぴよ?おかわりあるぴぃね?
「ちょっと〜…。カイ酔っ払ってる?ピー助語で話さないでよ!」
「まだ大丈夫だっ……ぴぇ。」
「ブッフォッ!ピ、ピー助語だって!やめろ〜!」
「言葉を教えてる弊害か?……ブフッ!」
んなことねぇよ!2ちゃんねるのひよこ民だって、そう話してるわい!
しかし、やっぱり皆との飲み会は楽しいな。
明日は何時に起きよう?
『大介畜』はフレックスだし、急な休みでもオケだから、目覚めた時間が俺の出社の時。
ふふふっ……定時なんてクソ喰らえだ!
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