第75話 聞き取り

「夢のマイホーム?」

「持ち家って意味です。ちゃんとした住まいが欲しいんですよ。帰るべき我が家として。」



 しかも大介の場合は、本当に常時『持ってる』状態だしな。


 それと、この前増坪した時に新しいメニューが追加されたんだよ。ソルスが居たから詳しくは見れなかったけど、『増坪』の下に確かにあったんだ。



【転移扉設定……1ヶ所 3000万ゼル】



 『転移』と書かれた文字を見て、入口の反対側にあるもう1つの用途不明だった扉の事だと思った。


 そして、1ヶ所 3000万ゼル。


 この増坪以上の鬼畜価格は、間違い無く簡単に使わせる程俺は安くないぜ!と、大介に言われているんだと思った。



 大介さん、とことん現金主義でらっしゃる。



 例えば、何処か他の街へ行ったとする。でも、水が合わず戻りたいって時に、この街に転移扉の設定をしていれば、すぐに戻って来れる。


 それって超便利。


 あとは試す必要があるのは、ダンジョンの中からでも転移が出来るのか?ボス部屋からも転移が出来るのか?かな。


 まあ、夢見るのは良いけど先立つ物ゼルが今以上に必要になった。そう考えたら、社畜から大介畜?になった気分ですね。



「……そうか、自分の家が欲しかったのか。」



 セグさんはそれだけ言うと、少し変な顔をしてから話を戻して聞き取りを続けた。


 そして、話進めて行く内に5階層のボスをどうやって倒したんだって事になった。



「最初は普通のボスだと思って魔法攻撃してたんです。そしたら、全然倒れないじゃないですか。そこで、少し距離を取ってお得意の『水玉』で頭部を覆って、そこに『火弾』を入れてグツグツ湯掻いたら倒れました。近付かれない様にソルスが羽を落としてくれたから出来た事ですけどね。」

「頭部を……湯掻く……?!」



 残酷な倒し方だとか、要らない感想は述べないで下さい。受け付けしてませんから。


 攻撃手段を選ぶ余裕はなかったし、もし負けたら俺達が生きたままムシャムシャ食われるんだ。外野は黙らっしゃい!


 そうして一通りの聞き取りが終わって、ソルスは組合で素材の一部と女王ハチの魔石を交換した。


 魔石は等価交換でゼルに替えた方が高かったと思うけど、組合への報告時に見せる必要があった為、事前に話し合い、組合で交換する事に決めていた。


 それと宝石はダイヤモンドとピンクダイヤモンドだけは手元に残して残りを売却していた。


 『渡したい人がいるんで……』と、ソルスが言ってた。なあ、それは等価交換する為の方便だよな?まさか居るのか?!そんな人が!!



「…………………ソルスの裏切り者。」

「もう、何の事だよ……はい、これはカイの分の魔石売却代金だよ。それと、透明なのはカイの方で替えてくれる?」

「ピンクのは?」

「それは取って置きたい。プレゼントしたい人がいるから。」

「やっぱりソルスは裏切り者だぁぁぁーー!」

「うるさいよ、カイ!だから女の子紹介しようかって言ったろ!」

「…………心の傷が癒えたらお願いします。」



 異世界のキッズは15歳で大人の階段を駆け上ってるのか?!


 もっとゆっくり行こうよ!




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