第72話 だらだらボス戦、ついでに増坪
大介の外にいるボス女王ハチを窓越しに見ながら、淹れたばかりの熱いお茶をズズ〜〜っと啜った。
本当、なんの因果でこんな巫山戯たボスばっかり出て来るんだ?1000にも満たない体力の俺等に約10万のボスを当てるとか鬼畜が過ぎるだろ?
ダンジョンってアホなの?
しかも弱点は、俺もソルスも持っていない『雷』属性だとよ。
「あのさ、カイ……。」
「なんだ〜〜?」
「僕たち、お茶を飲んでる場合じゃないと思うんだけど。」
「そうは言ってもさ〜、流石にあれだけある体力の魔物を倒すには時間が掛かるよ?幸い俺達の後には誰も待って無かったし、ゆっくり削ろうよ。」
何故か俺の言葉を聞いて、ソルスは驚き目を剥いた。
「…………………倒せるの?」
「え?向こうは回復手段が無いんだから、攻撃し続ければその内に倒れるだろ?」
時間が掛かるのはしょうが無いよな。直ぐに帰るつもりだったのにさ。
俺は窓の隙間から魔法で出した水を外に貯め、魔の森からお世話になっている『水玉』を作ってハチの頭をスッポリ覆った。
動きが鈍いヤツで良かったよ。
「………よし。これで後は放置だ。夜までには片が付くと良いな!」
「……………………………。」
俺の頭の上や肩をウロウロしていたピー助に、5階層で採取したサクランボをおやつで食わせた。俺もちょいちょいと摘まんで一緒に食う。
「ソルスも食えよ。粒が大きくて美味いぞ、このサクランボ。」
「あ、ありがとう。ねえ、カイはあの水の塊を維持出来るの?」
「?維持は問題ないぞ。でもアイツどのくらいで倒れるかな?」
「………もうカイの水玉は、生活魔法から進化してそうに見えるよ…………。」
進化はしてないよ。ただ、使い込んでるだけあってレベルが一番高くなってるけど。
ハチが藻掻いて水を削ったら、その分を補充し、水玉から頭が抜けない様に微調整。
鑑定で様子を見ると、カウントダウンしているみたいに体力が徐々に減って行ってるのが分かった。
ん〜〜〜〜…1秒に1づつ体力が減ってるとすると、残り9万として25時間も掛かるのか?!
……あれ?もしかして4階層の宝箱にあった『竜滅瓶』ってコイツ倒すのに必要だったとかじゃないよな?
確か、竜をも滅する毒だって鑑定結果が……水玉に混ぜたら効果抜群だったりして?!?!
ははは〜〜〜!もう全部ゼルに交換しちゃったよ!!ドンマイ!まあ、ソルスにも窓から様子見て攻撃してもらえば良いだろ!
それに既に無い物を嘆いても仕方ない。
ここは一発、ソルスの気分転換に大介の増坪を見せちゃおうかな?
「ソルス、様子見て余裕があったら窓からハチを攻撃してくれ。」
「分かったよ。苦しそうに暴れてるから、良く狙わないとね。」
「鑑定したら、体力は着実に減ってるから、ボチボチ頼むわ。それよりさ、この部屋をこれから大きくしようと思ってるんだ。」
「はい?………僕、耳がおかしくなったのかな?部屋を大きくするって、聞こえたんだけど…。」
まあ普通そうか。では、百聞は一見にしかずって事で2坪分広くするぞー!
先ずは何はなくともトイレだよな!残りは部屋を1.5坪分広くしよう。
………おお!!何とか極小のワンルームになれたか?それを見ていたソルスが、目を剥いて挙動不審になってる。
ま、何事も経験だ。全部引っ括めて、不思議な魔導具と言う事にしよう。
□ □ □
増坪の間取り図を参考まで近況に載せました。
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