第65話 宝箱オープン!

「ご飯も大事だけど、先ずは宝箱の確認だよ?」

「そうだな。2階層の時みたいに良い物が入ってると良いな!」

「メシくうぴぇーーーー!!!」



 メシの催促が激しいピー助には、最近お気に入りのチイカウ(牛)バーグを先に食わせて、いざ宝箱オープン!



「……ああ、宝箱の外観からして違ったけど、やっぱり中身もいつもと違う物が入ってるよ!カイ、鑑定出来るんだよね?説明お願いします!」

「了解。えーー…と………」




【腐滅の魔導書……あらゆる物を腐らせ、無に帰すことが出来る。腐敗させられる物と量はレベルによって変わる】



【剣豪の魔導書……剣豪の如き剣術が使える様になる魔導書。使える剣技はレベルによって増える】



【竜滅瓶(5本)……ドラゴンをも死に至らしめる劇薬が入った瓶】



【腐臭瓶(5本)……この世で最も臭いとされる臭いが詰まった瓶。嗅いだ者の嗅覚を奪う事が出来る】



【剣豪の剣(左)……二刀流の剣豪の愛剣。2本で一対となっている】



「………以上となります。はい。」

「そう……教えてくれてありがとう。と、とりあえず、あのスケルトンは剣豪の剣の内1本を使ってたみたいだね。なら剣はカイと僕で1本づつ持てばいいけど、後は扱いに困る品物が多いなぁ。」



 本当にそうだよ!


 俺が欲しかったのは『発酵の魔導書』だ!

 一気に腐らせんじゃねぇよ!


 それに『剣豪の魔導書』を使っても、俺は接近戦を殆どしない。基本、接近戦は止むを得ない時だけだよ。それか相手が反撃不可能な時だな。


 だって危ないじゃんか。当たり前だろ?


 あと、ろくに使って無いけど『転生者の剣』があるしなぁ。


 ちょっと憧れはあるけど、流石の俺だって、いきなり二刀流なんて無茶はしない。


 1本だってままならないってのに。



「ソルス『剣豪の魔導書』使うか?」

「え?カイは欲しくないの?!」

「俺、接近戦不得意だし、そもそも出来るだけやりたくない。俺の戦闘スタイルは『安全距離から魔法を撃つ』そして『近付かれたら距離を取る』が基本なんです。命は1つ、安全第一だよ?」


 俺がそう言ったら、ソルスは何とも言えない顔をして『それじゃ、使わせて貰うよ。本当に良いんだね?』と念を押して来た。


 どうぞどうぞ。俺が貰ったら、きっと等価交換でゼルに替えちゃうだろうし。



「ありがとう。僕、これからもっと剣術を磨いて行くよ。それよりカイは『腐滅の魔導書』使うの?」

「ああ、ゴミ捨てるの面倒くさかったから使うよ。『無に帰す』んなら、ゴミを無くすのに丁度良いだろ?きっと、普段のゴミ程度ならレベル低くても行けるだろうしさ」



 以前の生活習慣のせいか、ゴミをポイ捨てするのは躊躇われた。だから、結構アイテムバッグに溜まってるんですよねー。



「カイって、変な所に真面目だね。ゴミなんて、ダンジョンに置いておけば消えちゃうのに。」

「俺だってダンジョンの中なら気にしないよ。でも、生活してると何だかんだゴミって出るんだよ。そんな悩みを解決してくれるのが、この『腐滅の魔導書』です!」

「う〜〜〜ん〜〜…。用途が間違ってると感じるのは僕の気の所為かな?」

「気の所為だよ!」



 魔法なんだから、便利に使ってなんぼでしょ!これで俺のゴミ問題は解決だ!


 あーーこれはこれで良かった!


 最近、酒の空き瓶が溜まってしょうが無かったんだよ!リサイクルも異世界じゃ出来ないだろうしさ。



「あ〜…それと、残りのヤバ過ぎる瓶はどうする??僕はカバンに入れるのも嫌だよ……」

「売ろう。それが一番だ。ゼルに換えて半分づつでどうだ?だって持っていたって、ドラゴンに毒をどうやって飲ませるんだよ?!瓶ごと口を目掛けてぶん投げるのか?!それより俺は、ドラゴンなんか絶対遭遇したくない!!」

「そうだよね……でも売れるかなぁ。下手したら組合で危険物として処分の対象になっちゃうかもよ?」

「せっかく苦労して手に入れたのにただ処分されるのは嫌だ!………ソルス、1つ提案があるんだけど、絶対に誰にも言わないって約束して欲しいんだ。これは妹にもだぞ?そうしたら確実にゼルに替えてやれる。」



 そう。ソルスにはこの際『等価交換』を一部ぼかして説明しようと思った。


 『等価交換』と言わずに、ただアイテムをゼルに替えられるバッグを持ってると説明した。



「ええっ?!それってまんま交換機じゃん!そんな便利なのをカイは持ってたの?!」

「本当は組合の交換機で現金化した方が貢献ポイントになるんだろうけど、中にはこのバッグで交換した方がチョット高くなる時もあってさ。そんな時に使ってるんだ。」

「分かった。それは誰にも言えないね。約束するよ、誰にも言わない!」



 まあ、口約束がどの程度の効果があるかは分らないけど、最悪喋られても各組合に何台もある交換機と同じ性能なら大きな問題にはならないだろう。………多分。



「じゃあ、先ずは『竜滅瓶』を交換してみるな!」

「お願いします!」

 


 こんないつ使うかも分らない劇薬は、さっさとゼルに替えよう。せめて高額になってくれ!



【竜滅瓶 1本 1080万ゼル】



「ファァァッ?!?!?!」

「え?!な、なに??どうしたの、カイ!!」



 おいおい、とんでもない価格が付いちゃったよ!流石、竜を殺せる劇薬って事か?!


 コレ見ると、竜の部位って倒せればメッチャ高額査定がはじき出されるんじゃ?!って思うよな……倒せればな。


 いや〜どう考えても無茶が過ぎるな。無謀過ぎる夢を見ちゃいかんよ。欲をかいたら、自分の命と交換もあり得るんだから。



「ねえ!どうしたのさ、カイ!!」

「……………ソルス、聞いて驚け!この瓶1本の価格はな………」

「価格は?!」

「1080万ゼルだ!!!!」

「ウソっ?!本当なの??!!」

「ああ、マジだ!これ全部交換で良いか?」



 交換価格を聞いて、ソルスは壊れた首振り人形の様に首を縦に振り続けた。


 気持ち分かるよ〜。だって、一人当り2700万ゼルだもんな!ウハウハだぜ!!


 ソルスに現実を見て貰う為に、目の前に交換したゼルを出して半分渡す。



「………うわぁ……本当だよ……。」

「ソルス、収納カバンに入るよな?」

「うん……大丈夫。本当にある意味ヤバい瓶だったね。」

「ドラゴン討伐の予定があるなら、1本残して置けば良かったのに。」

「ある訳無いでしょ?!全部ゼルに替えて!!僕、戻ったら屋台をリフォームするよ!」



 俺も大介を増坪するぜ!ヤッホーー!!




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