54話目 VS 多分…きっと…キノコ
さあ……やって来ましたねぇ。こちら3階層のボス部屋前です。
事前情報ではボスはキノコだと聞いている。キノコのボスって…マイ◯ニドか?だったらユルユルな感じで、水玉模様の傘だと良いな〜。
生意気に痺れる胞子を飛ばすらしいけど、『風弾』や『風矢』でも散らせる程度だって話だ。
イレギュラーなボス戦はもう懲り懲りだから、通常仕様のボスを出してくれ!
そう願いを込めて、ボス部屋の扉を静かに開く。
「……お邪魔しまーす………よ……」
「ピェーー!!」
ああ!!ピー助やめて!
そろっと静かに様子見してるのに、急に元気な鳴き声出すのは!
しかし恐る恐る開けたボス部屋には、キノコはおろか何もいない空間が広がっていた。
ただ、索敵には部屋の中央に反応あり。
部屋全体が紅葉した木々に囲まれ、ポカンと空いたその中央部分には、色とりどりの枯れ葉がこんもりと集められている。……キノコと一緒に芋でも焼けば良いのか?
「………隠れてるとか嫌な感じしかしねぇなこれは。………他に探索者もいないし………いっそ燃やすか!」
「も〜や〜ぴー!」
よし!ピー助の賛同も得られた事だし、遠距離ファイアーで燃やしちまおう!
焚き火だよ〜落葉焚き〜♫
「行くぜファイアーボール(火弾)✕10!」
「びぇぇぇ!」
怪しい空間目掛け、火弾を乱発!ついでに森で使えなかった分も火矢行っとくか!
次々と着弾する魔法が木の葉を燃やし、周りに延焼始めた。おっと、いくら風上でも危ないから、水玉で自分の周りを濡らしておこう。
最初は連発した火弾にビックリしてたピー助だったが、慣れて来たのか『も〜え〜ピィピィピィーー!』と羽をバタつかせながらフィーバー鳴きを始めた。君、結構順応早いね?
しかしこんな事、他に人のいないダンジョンのボス部屋じゃないと出来ないよな……だって見た目が普通に山火事。
燃え盛る炎に向けて俺の燃料(芋)をいくつか投下していたら、炎の中から断末魔の様な悲鳴が聞こえて来た。
『『『ギョェェェェェェーー!!!!!』』』
おん?やっと出て来たかのかマイコ◯ド?
炎の中からユラユラとした影が複数見える
………あれは?キノコ??
だが、あの3体の大きなシルエットはキノコ………ってよりかは
そう。大きなのっぽのイチモツ。あれなら、ズボンも突き破れるし、肩にも担げるな……。
多分、炎の中で麻痺胞子を飛ばしているんだろう。突起の上部では、放出された途端に焼かれる無数の胞子がパチパチと煌めいては爆ぜて消え、より一層大きなイチモツの先っちょを輝かせていた。
「………だぁ〜かぁ〜らぁ〜〜〜おーきな〜〜いちも………」
「ダ〜カ〜ラ〜〜ぴぃーーー!」
あっっっぶなっっっ!!
こんな歌をピー助が覚えたら、余計な嫌疑が俺に掛かってしまうじゃないないか!!
どぶろ◯く先生の歌は封印だ!
そして炎に焼かれるキノコ?達は、その場から身動き出来ないタイプの様で、出現地点でブルンブルンと炎を払おうと身を捩っては胞子を飛ばしてキラキラ☆セルフエフェクトを放って藻掻いている。
そう言えば熱海の珍◯館にもこれと同じ位のオブジェがあったな………。
でも良かった。炎に包まれて陽炎の様なシルエットのみで詳細がはっきり見えないや。見たくねぇし。
街に戻ったら、念の為セディール達にどんなキノコモンスターが出るのか聞いておこう。
……コレと同じだよね?
下らない事をつらつら考えていると、一本、また一本とボスキノコは焼かれて倒れて行った。良かった〜今回は超楽ちんで倒せた
「後は火の始末をして終了かな?」
「もえ〜もえ〜ピィー?」
そうだよ〜燃え燃え終了な?……よし、索敵にも反応無いね。
……討伐完了だ。本当に呆気なかったな
それにしても珍妙なボスだった。先制攻撃(ほぼ放火)をしたお陰で倒すのは楽だったけど。
ではお待ちかね!宝箱とご対面と行きましょう!
「ああ…!丸焦げだ………やっぱり火力が強すぎたか」
鎮火した落ち葉の元に行くと、ボスキノコと一緒に焼いた燃料(芋)は、消し炭の様な状態になっていた。試しに割ってみたが、芯まで炭化している……
魔法の炎って高火力なんか?
勿体無いから、今度外で飯を作る時の炭としてスタッフ(俺)が使わせて頂きます
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